飯島茜“史上最長”1時間47分PO制し5年ぶり美酒“長勝った”

[ 2015年3月23日 05:30 ]

6ホール目に突入したプレーオフでフェアウエーを歩く全美貞(左から2人目)と飯島

女子ゴルフツアー Tポイント・レディース最終日

(3月22日 佐賀県武雄市 若木ゴルフ倶楽部=6304ヤード、パー72)
 飯島茜(31=フリー)が6ホール、1時間47分にも及んだプレーオフを制し、10年のゴルフ5レディース以来、5年ぶりのツアー通算7勝目を挙げた。終盤に盛り返した正規のラウンドは4バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの72で回り、通算3アンダーで全美貞(32=韓国)とのプレーオフに突入。男子プロの片山晋呉(42)の助言通りに攻めた6ホール目でバーディーを奪った。88年のツアー制施行後ではプレーオフのツアー記録は7ホールだが、2人によるプレーオフでは所要時間は最長だった。

 体は正直だった。5年ぶりの感慨に浸るどころではない。「疲れてしまって、あー勝ったなと。全然泣けなかった」。激闘から解放された飯島は大きく息をついた。ツアー最長の7ホールには及ばなかったが、6ホール、1時間47分にもわたったプレーオフ。「もう飛行機にも乗れないし、絶対勝って帰ろう」という気迫で午後5時29分、死闘に決着をつけた。

 首位と3打差から出たが、前半でスコアを1つ落とし、13番でもOBを打ちダブルボギー。だが、戦線離脱しかけたところから粘った。14、16、18番でいずれも1メートル強につけてバーディー。全美貞に追いついた。

 勝負どころで思い出したのは師匠の言葉だった。3年前から教えを請うのは片山晋呉。上体が突っ込んでいたスイングだけでなく、指導は言葉遣いなど日常生活にも及んだ。以前は「カサッ」だったアイアンの音が「ビシッ」に変わったのはオフ。2月の宮崎合宿で「凄い変わった。もう大丈夫だよ」。インパクトの正確性を増したショットに初めて合格点をもらった。

 前夜、片山に電話をするとアドバイスを1つもらった。「自分から攻めないでグリーン真ん中に打ちなさい。フルスイングできる距離が残った時だけ攻めるように」。プレーオフ6ホール目、フェアウエーからの第3打は50度のウエッジでフルスイングして打てる92ヤード。1メートルに3オンし、5年ぶりのウイニングパットにつながった。

 22歳で初優勝し、27歳で年間2勝を挙げ賞金ランクも9位に入った。だがその後、勝てなくなり、若手の勢いにも圧倒されると「いつ引退の時期が来るのかな」と引き際を考えることもあった。苦しんだ時期を思えば、プレーオフの死闘も短かった。ツアー記録となる開幕からの外国人3連勝も阻止。開幕前に掲げた1勝を3戦目で達成し、目標を上方修正する。31歳の時が再び動き始めた。

 ◆飯島 茜(いいじま・あかね)1983年(昭58)7月11日、千葉県八千代市生まれの31歳。小学時代は陸上競技やバスケットボールに熱中したが、中2でゴルフを始めた。堀越高卒業後にニュージーランドにゴルフ留学。05年のプロテストは12位で合格。06年の近未来通信クイーンズでツアー初優勝。07年の日本女子プロ選手権でメジャー初優勝を飾るなどツアー通算7勝。1Wの平均飛距離は240ヤード。1メートル57、50キロ。

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