照ノ富士、逆転Vに望み 逸ノ城と2場所連続水入り激闘“雪辱”

[ 2015年3月22日 05:30 ]

逸ノ城を寄り切って破った照ノ富士は、白鵬(右下)の前で懸賞を手に胸を張る

大相撲春場所14日目

(3月21日 大阪・ボディメーカーコロシアム)
 新関脇・照ノ富士(23=伊勢ケ浜部屋)と平幕・逸ノ城(21=湊部屋)のモンゴル怪物対決は異例の2場所連続の水入りの末、先輩の照ノ富士が寄り切って、先場所のリベンジを果たした。2敗を死守して、逆転優勝に望みをつないだ。横綱・白鵬(30=宮城野部屋)は変化して宿敵・稀勢の里(28=田子ノ浦部屋)を突き落とし1敗を守った。優勝争いは1敗の白鵬と2敗の照ノ富士の2人に絞られた。

 土俵の中央で2つの巨体が固まった。1メートル91、180キロの照ノ富士と1メートル92、202キロの逸ノ城。右の相四つの2人は立ち合いから互いに右を差し、左上手を探り合った。互いに上手を取るとがっぷり四つ。胸で押し合い延々とまわしを引き合った。開始3分30分。審判団の求めに応じ、行司が両者の背中を叩いて、いったん取組を止めた。

 初場所14日目に続く、両者の水入り。照ノ富士は「またかよっ。もう全力で出ていくしかない」と仕掛ける覚悟を決めた。1分48秒後に再開されると左の出し投げで逸ノ城の左上手を切って体勢を崩した。すぐさま右前ミツを引いて前に。計3分53秒の熱戦を制した照ノ富士は膝に手をつき肩で息した。

 「がっぷり組んだら(水入りに)なるだろうなとは思っていた。(相手が)重くて動かなかった」。モンゴルから一緒の飛行機で来日して鳥取城北高に入学した2人。今場所はそろって黒の締め込みに替えたほど仲もいい。前回は2歳上の先輩が先に力尽きたが、2度目は意地を見せた。

 白鵬に初めて勝った前夜は師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)に「よかったな」とハグされ、10万円のご褒美ももらった。届いたメールは計200通。珍しく夜の街には繰り出さず、4時間かけて全てに返信した。高まる周囲の期待はエネルギーに変わっている。

 千秋楽を残して12勝。北の湖理事長(元横綱)は「新関脇としてよくやっている」と称えた。大関昇進の目安は「三役で3場所計33勝」とされるが、同理事長は「次の場所が大事」と語り、夏場所で優勝なら名古屋場所を待たずに大関昇進させる可能性も示唆した。

 千秋楽は豪栄道戦。「勝って待ちたいです」。兄弟子の日馬富士が白鵬を下せば、優勝決定戦になる。デビュー24場所目での優勝となれば貴花田、朝青龍に並ぶ最速記録。新関脇の優勝は15日制が定着した49年夏以降では初の快挙だ。帰り際「疲れた。もう力残ってない」と言って、しびれて握れなくなった手を突き出した。その手で賜杯を抱くチャンスは十分ある。

 ◆照ノ富士 春雄(てるのふじ・はるお)本名・ガントルガ・ガンエルデネ。1991年11月29日、モンゴル・ウランバートル生まれ。愛称は「ガナ」。09年3月に逸ノ城と一緒に来日し、鳥取城北高入学。11年5月技量審査場所で初土俵。14年春場所に新入幕。15年初場所8勝7敗で敢闘賞を獲得し、今場所で新関脇。

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