“平成の三四郎”古賀稔彦氏の次の夢…“息子でも金”

[ 2015年3月20日 21:46 ]

 自分で金、指導者でも金、その次の夢は?

 柔道の全国高校選手権は20日、東京・日本武道館で個人戦男女計10階級が行われ、92年バルセロナ五輪男子71キロ級金メダリストの古賀稔彦さん(47)の息子2人が出場した。

 まずは男子60キロ級の決勝に次男・玄暉が登場。いてもたってもいられない父親の心境だったのだろう。それまでおとなしく座っていた古賀さんは来賓席の後方に立ち、じっと試合を見つめた。

 「3回戦から指と肩がつって自分の柔道ができない状態だった」という玄暉には、決勝前にマッサージを施し「最後は手がつっても力を出し切るしかないぞ」と声をかけて送り出した。その言葉に応えるように、玄暉は開始から攻め手を緩めず、指導1の差で優勝をもぎ取った。直後の73キロ級決勝は長男・颯人(はやと、同2年)の出番だった。しかし9分50秒に及んだ延長戦でこちらは惜敗。颯人は「弟と一緒に優勝するつもりだったけど最後で甘さが出た」と2年連続の準優勝に悔し涙を浮かべた。

 2人は古賀さんの主宰する古賀塾で柔道を始めたが、小学校卒業とともに親元を離れた。「小学生時代から自分で考え、自分で戦っていく環境を整えてあげたかった。理にかなった組み手、技さえ教えておけば、その柔道は自然と伸びていくはず」。古賀さんは自らの経験と哲学に基づき、息子たちを手元に残すことはしなかった。玄暉は「父には組み手のことを小学生の頃から習っていて、それが中学、高校で自分のパターンになっている」と語っており、金メダリストが仕込んだ基礎は狙い通りに息子たちの柔道の血肉となっているようだ。

 「五輪で優勝するのが夢」という玄暉。バルセロナ五輪95キロ超級銀メダリストでプロレスラーの小川直也の長男・雄勢も高校王者として今春から明大に進学予定。20年東京五輪世代には楽しみな2世選手がそろっている。「自分で金メダルを取って、コーチとしても教え子(04年アテネ、08年北京五輪の谷本歩実)が金メダルを取った。個人的な欲を言えば、五輪に関しては子供たちしか残ってない」と笑いながら語る古賀さん。“息子でも金”の夢はいつの日か叶うだろうか。

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2015年3月20日のニュース