【新風力士】天風　あまちゃん“甘さ”克服で飛躍、優勝争い浮上

英乃海（左）を寄り倒し、２敗を守った天風

　天真爛漫（らんまん）という言葉が似合う“角界のあまちゃん”が新十両場所で持ち味を存分に発揮している。その名は２３歳の西十両１２枚目・天風（あまかぜ、尾車部屋）。２００キロの巨体を生かして英乃海を寄り倒して１０日目で早くも勝ち越しを決め、優勝争いでもトップタイに浮上した。

　１７日の取組直前。館内で女性ファンから「あまちゃん！かわいい！」と連呼された。「連続で呼ばれたので」と苦笑いを浮かべつつも、そう呼ばれることには「全然あまちゃんなんで」とうれしそうにＯＫを出した。

　師匠の尾車親方（元大関・琴風）は「思い切った相撲が取れている」と評価する一方で「心配だよ」と頭を悩ませる。その理由は「根拠のない自信を持つからね。このままでは（軽妙な話術で知られた）金剛以来のほら吹きになる。アイツは尾車部屋というか口車部屋だからな」と説明。愛きょうたっぷり、おしゃべりな性格が人を引きつけるが、まだまだ心に甘い部分があるという。先場所も勝ち越した後の相撲であっさりと敗れ、叱責（しっせき）したばかりだ。

　本人はこの日「勝ち越しのうれしさよりも次の相撲」と自分を戒めた。誰もが「じぇじぇじぇ」と驚くきっぷのいい相撲を取り続け、あまちゃんからの卒業を目指している。

　◆天風　健人（あまかぜ・けんと）本名・川成健人。１９９１年（平３）７月７日生まれ、香川県仲多度郡琴平町出身の２３歳。中学まで柔道をしていたが、師匠のスカウトを受けて０７年春場所に入門。しこ名の由来は七夕生まれであることなどから。得意は押し、左四つ、寄り。１メートル８４、２００キロ。