栃ノ心、日馬撃破!「引退も考えた」大ケガ乗り越え初金星

[ 2015年3月16日 05:30 ]

日馬富士(手前)を叩き込み、金星を挙げた栃ノ心

大相撲春場所8日目

(3月15日 大阪市ボディメーカーコロシアム)
 平幕の栃ノ心が横綱・日馬富士をはたき込みで破り、初金星を獲得した。2年前の名古屋場所で右膝に大ケガを負った苦労人。12年秋場所以来の三役復帰に向けて大きな白星をつかんだ。優勝争いは全勝の白鵬を1敗で照ノ富士、安美錦が追い、2敗で琴奨菊ら6人が続く展開となった。

 苦難の日々を乗り越えた栃ノ心が、ついに黄金に輝く勝利をつかみ取った。2年前の右膝の大ケガで一時は無給の幕下まで番付を下げ「引退も考えた」と言う。そんな“地獄を見た男”が挑んだ今場所初の結びの相撲。立ち合いで日馬富士が左に動いたが、そんなことで動じるやわな心ではない。果敢に前に出て突き放すと、相手は動揺。冷静に体を右に開いてはたき込んだ。入門から10度目の春に初めて横綱を撃破して初金星。「初めてなのでうれしい。入院してた時は幕内に戻ってこられないかと思ったので」

 悲劇が訪れたのは2年前の名古屋場所5日目。徳勝龍を寄り切った際に右膝に激痛が走った。前十字じん帯と内側側副じん帯を断裂。入院生活を強いられ、師匠の春日野親方(元関脇・栃乃和歌)に引退を告げることを考えた。だが、連日、病室に部屋の力士や親方、おかみさんが来て「すぐに戻ってこられる」と励まされた。「もう一度頑張ろう」と決意し、13年8月23日に手術。同9月には右肘のネズミ除去手術も行い、復帰に備えた。4場所連続休場し、幕下下位で復帰したのは1年前の春。「忘れてないよ、まだ。ずっと稽古できなかったし、歩けなかったから」。ケガをした場所に使用した締め込みはもう二度と使わない。関取復帰後は師匠から譲り受けた紺の締め込みを“お守り”として締め続けている。

 休場中の2年前の九州場所。朝稽古後に毎日、帽子にマスク、ジャージー姿で宿舎前の海岸を一人で歩いてリハビリしたことが脳裏から離れない。近くの神社にも階段を上って必ず出向いて「復帰できますように」と手を合わせたという。願いはかなった。「自信になる。次につながればいい」。前頭4枚目で白星が2つ先行。グルジア人力士は2年半ぶりの三役復帰も視野に入れている。

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2015年3月16日のニュース