錦織「2勝できたことは誇り」 日本8強逃すもエースの仕事

[ 2015年3月10日 05:30 ]

ラオニッチを下し、ガッツポーズの錦織(AP)

男子テニス国別対抗戦デ杯ワールドグループ1回戦・日本―カナダ最終日

(3月8日 バンクーバー)
 シングルス2試合が行われ、日本は通算2勝3敗で敗れた。錦織圭(25=日清食品)はミロシュ・ラオニッチ(24)とのエース対決を3―6、6―3、6―4、2―6、6―4で制し、6日のシングルスに続いて2勝目を挙げた。だが、当初登録された伊藤竜馬(26=北日本物産)に代わって出場した添田豪(30=GODAITC)が、最終戦でバセク・ポシュピシル(24)にストレート負け。日本は昨年に続くベスト8入りを逃し、ワールドグループ残留が懸かる9月の入れ替え戦に回る。

 試合はラオニッチの時速215キロのエースで幕を開けた。最初は反応できなかった錦織。それが徐々にラケットに当て、返球し、鋭くリターンを返すようになった。フルセット、3時間5分の息詰まる熱戦。植田実監督にハグして祝福されると、張り詰めていたエースの表情がようやく和らいだ。

 「対戦前から自分が2勝しないと勝てないと思っていた。こうしてしっかり2勝できたことは誇りに思う」。1勝2敗とあとがない状況でのエース対決。昨年だけで4度、今季もこれで2度目の対戦となり、手の内を知り尽くしているライバルを相手のホームでねじ伏せた。

 ひときわ球足の速いコートはビッグサーバーのラオニッチ有利とみられていた。しかし、フタを開けてみれば全くの互角。「スピードに慣れるのは大変だったけど、球が弾まないので、しっかりコートの中に入ればリターンを胸の高さで打てた」

 高い順応性を示しただけではない。「ストロークでフォアに回り込むのが彼のプレースタイル。それができないこの速いサーフェスが逆に自分に有利だったかも」と相手のアドバンテージを自らのものに捉え直すメンタルの強さもあった。

 最終セットでは第3ゲームで先にブレークに成功。一度はブレークバックを許して「気持ちが落ちそうになった」というが、「集中して力を振り絞った」。土壇場の第9ゲームを再びブレークして粘り勝った。

 チームを勢いづかせた勝利に間違いないが、錦織に続く添田が敗れて目標のベスト4には届かなかった。しかし、できることは全てやりきった。アウェーの雰囲気、コートを克服し、エースの役割を果たした2勝。輪になって喜ぶカナダに目を向けずにコートサイドから去った錦織だが、今後のマスターズ大会2連戦に向けても得たものは大きかったはずだ。

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2015年3月10日のニュース