【新風力士】御嶽海 御嶽山噴火の地元を「勇気づけたい」

[ 2015年3月9日 08:00 ]

初陣を白星で飾ったアマ、学生横綱の御嶽海は「2冠の力だ」とばかりにVサイン

 大相撲は遠藤、逸ノ城らホープの台頭で盛り上がりを見せている。春場所は就職場所とも呼ばれ、多くの新弟子も土俵に立つ。次代を担う十両以下の新星にスポットを当てる連載「新風力士」を千秋楽まで連日掲載する。

 春場所前の新弟子検査に合格した43人の中で、一番最初に白星を挙げたのは御嶽海(22=出羽海部屋)だった。幕下10枚目格付け出し資格で初日の土俵に上がった東洋大4年生。前夜は緊張で1時間おきに目が覚めた。「頑張れ木曽の星」の横断幕にも気づかなかった。「いっぱいいっぱいでした」。立ち合いは出遅れ、本来の突き押し相撲ができなかった。それでも昨年の全国学生選手権と全日本選手権の覇者は冷静だ。明生(立浪部屋)に左を深く差して体勢を立て直して一気に寄り切り。「きょうは眠れそうです」と言って大きな瞳を輝かせた。

 当初は国体のある和歌山県庁への就職が決まっていたが、低迷する名門・出羽海部屋から「再興に力を貸してほしい」と熱烈なオファーを受けて角界入り。2学年上の日大出身で過去2勝3敗の遠藤の活躍も「刺激を受けた」。しこ名は故郷の名峰・御嶽山が由来。昨年9月の噴火で犠牲者が出た地元を「少しでも勇気づけたい」と願う。78年初場所で引退した元幕内・大鷲以来の長野県出身関取の期待も大きい。「ようやくこれでスタートだな」。大物新人は心地いい汗を拭っていた。

 ◆御嶽海 久司(みたけうみ・ひさし)本名・大道久司。1992年(平4)12月25日、長野県木曽郡上松町生まれの22歳。小学1年で相撲を始める。木曽青峰高―東洋大4年。1メートル79、149キロ。得意は突き押し。

続きを表示

この記事のフォト

2015年3月9日のニュース