錦織 5年連続3回戦進出!まるで“ホーム”声援受け逆転

[ 2015年1月23日 05:30 ]

全豪オープン男子シングルス2回戦、バックハンドでリターンする錦織(AP)

全豪オープンテニス第4日

(1月22日 オーストラリア・メルボルンパーク)
 男子シングルスで第5シードの錦織圭(25=日清食品)が2時間47分の熱闘を制した。世界ランキング86位のイワン・ドディグ(30=クロアチア)に4―6、7―5、6―2、7―6で逆転勝ち。サーブアンドボレーを交えた相手の作戦や酷暑に苦しみつつも、5年連続の3回戦進出を決めた。24日に予定される3回戦では世界38位のスティーブ・ジョンソン(25=米国)と対戦する。

 上位に位置するということは、研究され、対策を練られるということ。対戦相手はスタイルを崩してでも、あの手この手で揺さぶってくる。錦織に1勝3敗と負け越していたドディグが用いた“あの手”は攻撃的なリターン、“この手”はサーブアンドボレーだった。

 「サーブアンドボレーを嫌な時に交ぜられたり、前に出てこられた。いつもより攻撃的なところを感じてプレッシャーになった」

 第2サーブどころか第1サーブまで思い切り叩かれ、序盤はサービスキープに四苦八苦した。第1サーブが入った場合のポイント獲得率が第1セットは58%止まり。さらに錦織のチャンスでは、すかさずサーブアンドボレーを見舞われた。ラリーに持ち込めずにストロークでの凡ミスも増え、第1セットを落とした。

 第2セットは第1サーブの確率を上げつつ、第2サーブもボディー狙いを増やした。目先を変えることで少しずつペースを取り戻したが、全豪特有の暑さも立ちはだかった。会場は日中の最高気温が35度に達し、直射日光を浴びるコートの体感温度は40度近かったかもしれない。1回戦と違う酷暑に「フラフラしてうまく集中できない時もあった」と苦しめられた。

 ベテランの豊富な経験と容赦ない鋭い日差し。第2セットは互いにキープが続きタイブレークにもつれ込めば、ますます相手ペースになる可能性もあった。しかし6―5で迎えた第12ゲーム直前、この日も多数訪れていた日本人ファンを中心に、場内から錦織コールが湧き上がった。

 「ニシコリ!ニシコリ!」。ホームの雰囲気が背中を押した。このゲームをブレークして第2セットを奪取。続くセットも連取すると第4セットは粘るドディグをタイブレークで振り切った。びしょ濡れのシャツをベンチで着替え、再びコートへ。「日本にいるような気分だった。皆さんの声援のおかげで頑張れた」と感謝の言葉を贈った。

 全豪オープンは5年連続3回戦進出。4大大会で最も安定した成績を残す。準優勝した全米オープンとともに得意のハードコート。ケガの絶えない錦織だが、シーズン開幕直後で肉体的にもフレッシュな状態が安定感につながっている。

 「100%ではないけど調子は上がってきている。ちょっとずつ自信を上げていくのが一番。まず2試合勝ててホッとしている」。道のりは長い。手に汗握る展開とは裏腹に、錦織の口調や表情はまだクールだった。

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