明大 大六野秀畝 天狗と彼女にV誓う最強世代エース

[ 2015年1月2日 05:30 ]

大六野(明大)がランニングで汗を流す

第91回箱根駅伝 1月2、3日

 明大のエースは箱根路だけでなく、恋路も全力疾走する。29日のエントリー発表で2区に決まった大六野秀畝(4年)がレース前に行う儀式は、写真を見ること。「勝負運のある、筆で書かれた天狗(てんぐ)みたいなやつなんです。送ってもらった画像を携帯に保存しています」。送り主は誰なのか。大六野は頬を赤らめ、「一応、彼女がいまして…」と照れ笑いを浮かべた。

 女子実業団など男女交際に厳しいチームは存在するが、明大はオープンだ。年上で既に社会人の彼女と大六野は、西監督と食事をともにしたこともある。彼女が“天狗の水墨画”を送信してくれたのは4月。左すねを痛めて夏場までは苦しんだ大六野だが、9月に実戦復帰した。11月の全日本大学駅伝では最長区間の8区で区間賞。「画像を見るとレースで失敗したことがないですね」とその効果を口にした。

 厳しい彼女に背中を押されてきた。13年の箱根駅伝で花の2区を任された大六野は、駒大のエース・窪田忍(現トヨタ自動車)の背後にピッタリとついたが、前に出ることなく消極的なレースだった。「何も伝わってこない。見ている人に感動を与えるスポーツなのに」と彼女に酷評された大六野は、「あまり褒められたことがない。褒めてもらえるように頑張る」と気合十分だ。

 彼女への思い以上に頭の中を占めるのは、もちろんチームへの思いだ。現4年は入学時から最強世代と評されてきたが、いまだ出雲、全日本、箱根の3大駅伝で無冠。「最強世代で勝てないのは悔しい。最後の最後くらいはしっかり勝ちたい。僕の役割は他校のエースに勝つこと。一人一人がいつも通りの力を出せれば勝てる」。66年ぶりの総合優勝へ導く激走はきっと、彼女のハートを再び射抜く。

 ◆大六野 秀畝(だいろくの・しゅうほ)1992年(平4)12月23日、鹿児島県いちき串木野市出身の22歳。小学3年で地元のスポーツ少年団で陸上を始め、鹿児島城西高から明大に進学。1万メートルの自己ベストは28分40秒88。箱根駅伝は12年1区6位、13年2区12位、14年2区5位。1メートル68、51キロ。

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