羽生 大輔以来V3!代表決定 因縁上海で世界連覇舞いだ

[ 2014年12月28日 05:30 ]

演技を終えファンが横断幕を掲げ拍手を送る中、歓声に応える羽生

フィギュアスケート全日本選手権第2日 男子フリー

(12月27日 長野市ビッグハット)
 世界選手権(来年3月、中国・上海)の代表選考会を兼ねて行われ、男子はショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(ゆづる、20=ANA)がフリーも1位の合計286・86点で05~07年の高橋大輔以来となる3連覇を達成し、代表に決まった。17歳の宇野昌磨(中京大中京高)が251・28点で2位、小塚崇彦(25=トヨタ自動車)が245・68点で3位。女子SPは13歳の樋口新葉(わかば、日本橋女学館中)が64・35点で3位につけた。男子の残り2人と女子3人の代表は28日の女子フリー後に決まる。

 演技前の6分間練習から、羽生は異変を感じていた。「疲れがきていた。きつかった」。連戦の蓄積疲労がプリンスを襲っていた。冒頭の4回転サルコーで激しく転倒したが、ここから持ち直した。4回転トーループを決めると、今季不調の3回転ルッツも2回クリーンに着氷だ。2月のソチ五輪を制し、11月の中国杯では練習中に激突。波瀾(はらん)万丈の14年を締めくくり、「結果をいただけたことはうれしい。この長かった年が終わった」と安ど感に浸った。

 フリー「オペラ座の怪人」は今季解禁されたボーカル入りの曲だ。表現の幅を広げるため、羽生が心掛けていることがある。流れる歌声に合わせ、滑りながら演技する。「歌うなって言われたら歌わないですけど」と笑いながら、「しっかり自分が曲の中に入りたいと思っている時、口ずさむのが僕の中では当然」と説明。滑って跳ぶだけじゃない。プログラムをより深く表現する姿勢も、プリンスの強みだ。

 中国杯の事故時に着ていたフリーの衣装に付いた血は洗っても取れず、NHK杯から衣装を替えた。過去の衣装を保管している羽生だが、因縁の勝負服は目につかないようにしまわれている。「見たら事故を思い出すでしょうし」と関係者。NHK杯はフリーでミスを連発したが、ファイナル、今大会と及第点の演技を披露。鮮血にまみれたファントムと完全に決別した。

 連覇を目指す世界選手権代表も正式に決定。大舞台の開催地は中国杯と同じ上海だ。羽生は試合が続くと食が細り、ベスト体重の55キロから2~3キロ減る。年が明け、五輪金メダルによる表彰ラッシュを終えると、拠点のカナダ・トロントに戻る。試合間隔も空くため、世界選手権でコンディションが上がるのは確実。封印している演技後半の4回転も解禁する方針だ。「五輪チャンピオンも日本チャンピオンも過去の栄光。全く関係ない」と言うプリンスが、新たな栄光へ突き進む。

 ▽全日本選手権男子の連覇 浅田真央らを指導した佐藤信夫が56~65年度まで10連覇を達成。佐野稔は72~76年度で5連覇。小川勝が83~86年度で4連覇。有坂隆祐は戦争で中止の2大会を挟み4連覇を達成している。

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