早大・山本主将 創部100周年の重責、5区山上りの原動力に

[ 2014年12月28日 10:45 ]

5区での起用が確実視される早大・山本主将は笑顔でWの文字を作る

 第91回東京箱根間往復大学駅伝競走は年明けの1月2、3日に行われる。今年は東洋大が往路、復路ともに制しての完全Vを達成した。今大会は実力者をそろえて全日本駅伝でも地力を示した駒大が優勝候補に挙げられる中、他校はそれをどう崩し、箱根路を攻略していくのか。有力校の注目選手を紹介する連載「箱根に駆ける」。第1回は早大の山本修平(4年)です。

 箱根駅伝のたすきは学生たちにとって限りなく重い。1区から10区まで、メンバー全員の思いをつなぎ通すために選手たちは猛練習を積んでいるのだ。しかし、今回のえんじ色のたすきは、例年以上に長い伝統と歴史が詰まったものになりそうだ。

 1914年創部の早大競走部は今年100周年を迎えた。日本人初の五輪金メダリストである織田幹雄や瀬古利彦ら名選手を輩出してきた名門。その歴史の節目に山本は主将兼エースの役目を担う。11月には記念式典が行われたが、それ以外でも「どこに行ってもOBから“100”という言葉を聞かされた」と部が持つ伝統を感じ続けてきたという。「その年に主将を務めるプレッシャーもあったし、ワクワクもあった。そういう思いがあるから個人的には結果が出たところもある」

 1浪して早大に入学した山本は1、2年と5区を任されて区間3位。しかし、今年はレース1カ月前に左アキレス腱を痛めて涙の欠場となった。今季はケガから復調し、日本インカレ1万メートルで8位入賞、全日本駅伝では4区で区間2位と好走を見せている。

 一方で自らの走りとは別の困難にも直面した。「100周年ということで競走部としての自覚を促そうとした部分もあった。そういうところで部員から不満を言われたこともあった」。チームをまとめ、規律を厳しくすれば反発も出る。それでもなお、山本は言う。「100周年の箱根は結果を出さないといけない」

 11月の全日本は総合7位とシード落ちの屈辱を味わったことで、チーム全体が一層戦う集団として団結しつつある。山本は今大会も5区起用が確実。山上りへの適性を問われると「苦労もしてきたし、挫折も経験してきた。そういう体験に比べれば山上りの苦労もそんなに大変ではない」と語った。1世紀積み上げた伝統の風が重荷ではなく追い風に変われば、天下の険も怖くはなくなるはずだ。

 ◆山本 修平(やまもと・しゅうへい)1991年(平3)5月24日、愛知県豊橋市生まれの23歳。高師台中から時習館高、1浪して早大へ。1万メートルの自己ベストは28分14秒49。1メートル68、47キロ。

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2014年12月28日のニュース