羽生の凄みとは 岡崎真氏が解説、夢の300点はもう目前

[ 2014年12月15日 07:40 ]

フィギュアGPファイナル男子フリーの演技を終え、天を指さす優勝した羽生結弦

フィギュアスケートGPファイナル最終日

(12月13日 スペイン・バルセロナ)
 転倒しながらも2種類の4回転を鮮やかに決め、羽生がフリー自己ベストでGPファイナル連覇を達成した。ISU(国際スケート連盟)テクニカルスペシャリストで、プロコーチを務めるスポニチ本紙解説の岡崎真氏が20歳の五輪王者の凄みを分析し、歴代最高得点の可能性に言及した。

 率直に言えば「羽生はどこまで行くのだろう」と感じさせてくれるような素晴らしい演技だった。終盤の3回転ルッツで転倒はあったが、前日のSPのように踏み切りのちぐはぐさという技術的な問題とは異なり、体力的にきつくなったことや「これが決まればノーミス」という意識の影響があったのか、少し丁寧さ を欠いたように見えた。それでも、これまでは疲労の見える後半でスケーティングに伸びを欠くことが多かったが、この日は最後までよく滑っていた。

 得点は200点に迫り、フリー2位のフェルナンデスに約20点の大差をつけた。これが羽生のスケール感を表しているのではないか。アクセルも含めた他の種類の4回転も練習していると噂に聞く。もしかすると4―4回転の連続ジャンプも練習しているのではないか。五輪王者となって守ることなく、さらに貪欲に新しい領域に挑戦し続ける姿勢が、高い評価につながっていると思う。個人的に言えば、子供たちの憧れの存在が、さらに高みを目指していることは、指導者としてありがたい。

 国際大会初の「SP100点+フリー200点、合計300点」というスコアは、目前だろう。前日のSPと合わせ、2度転倒しながら合計は288・16点。転倒さえなければ、と思わせる。さらに細かい指摘をすれば、フリーではステップとスピンで上積みは可能だった。体力面や曲調を考慮した部分もあるだろうが、ステップの振り付けはもう少し大きい方がいい。最後のスピンも、曲に合わせてフェードアウトするのではなく、もっと盛り上がるように回転を速めるなど、工夫のしようがある。レベルを取りこぼさないだけでなく、GOE(出来栄え評価)による加点も、もっと引き出せると思う。

 今後、安定感抜群の4回転をさらに増やすことも考えられる。結論を言えば、それだけの「余白」をまだ残しているということが、羽生というスケーターの凄さを雄弁に物語っているのではないだろうか。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

 ≪歴代最高はチャン295・27点≫国際スケート連盟(ISU)公認の世界歴代最高得点はパトリック・チャン(カナダ)が13年GPフランス杯で記録した295・27点。羽生が13年GPファイナルで残した293・25点は歴代2位となっている。

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