沙羅 アクシデント乗り越え2位!スキー板破損も板かじって修復

[ 2014年12月15日 05:30 ]

吉田杯ジャンプ女子で2位となった高梨沙羅の2回目

 ノルディックスキー・ジャンプの国内開幕戦、吉田杯は14日、北海道名寄市の名寄ピヤシリシャンツェ(HS100メートル、K点90メートル)で行われ、W杯個人3連覇を狙う高梨沙羅(18=クラレ)が2回目直前にスキー板を破損するアクシデントに見舞われながら92・5メートルをマークし、2位に入った。女子は伊藤有希(20=土屋ホーム)が優勝。男子は伊東大貴(28=雪印メグミルク)と竹内択(27=北野建設)がともに251・5点の同点優勝となった。

 2回目の直前、思わぬアクシデントが起きた。選手はスタートゲートのさらに上にある物置小屋にスキー板を立てかけて控室で待機。ところが、高梨の右のスキー板だけが滑って約20メートル下に落下した。関係者の捜索で発見されたが、落下の衝撃でスキー板のテール部分が裂け、めくれ上がった状態となっていた。だが、高梨は冷静だった。口で板をかじって元に戻るよう修復。めくれ上がっていた板を軽く接着させ、競技を続けた。いつもと違うはずの感触をものともせず、K点越えの92・5メートルをマークした。

 結果的に1回目に「やってしまった」と悔やんだ90メートルの失敗ジャンプを取り戻せず、伊藤に優勝を譲った。それでも2回目はアクシデントをはねのける内容。「(試技を含め)3本の中で一番いいジャンプだった。でも技術、精神面はまだまだ。直すところがたくさんあります」と3年ぶりに参戦した国内開幕戦を制することができず、悔しそうな表情を浮かべた。

 W杯個人総合3連覇が懸かる今季は5日の開幕戦(ノルウェー・リレハンメル)で3位に終わった。帰国後は名寄で道具を試しながら完全復調に向けて調整を続けてきた。「感触がつかみきれない。テークオフ後の(空中の)30メートルまで体が入る癖がついている。課題を一つ一つ直したい」と修正点を挙げた。今後は名寄などで国内調整を続け、来年1月4日の雪印メグミルク杯(札幌・宮の森)に参戦。10、11日のW杯札幌大会に続く。アクシデントを乗り越えた女王が復活に懸ける。

 ≪伊藤が大会初V≫昨季W杯総合3位の伊藤が高梨を抑え、大会初優勝を飾った。それでも「結果は優勝だけど、内容はあまり良くない」と満足はしなかった。今季は所属先の監督を務める葛西の技術を取り入れ、モモンガのような空中姿勢で手のひらを下に向ける「レジェンド・スタイル」を導入。風洞実験で「手の向きで浮力が違う」と実感した。また、5月に20歳になった伊藤は14年を振り返り、新たなことに挑戦したという意味で「新」という漢字で表現。来年はどんな年になるのか楽しみだ。

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