IOC、分散開催容認…バッハ会長の改革「大きなヤマ越えた」

[ 2014年12月9日 05:30 ]

IOCの臨時総会であいさつするバッハ会長(AP)

 大会招致や開催計画にも新風が吹いた。国際オリンピック委員会(IOC)は8日にモナコで開いた臨時総会で、五輪開催都市のコスト削減のために国内の開催都市以外での実施や夏季、冬季を問わず例外的に一部を他国で行う項目も承認。今回の改革は、施設建設費の高騰で会場計画の見直しを進める20年東京五輪や、26年冬季五輪招致に名乗りを上げた札幌市の計画策定にも影響しそうだ。

 財政難から準備の遅れている18年平昌(ピョンチャン)冬季五輪で検討されている、そり競技の国外開催案の後押しにもなる。

 大きな転換の背景には「五輪ブランド」の低下へのIOCの危機感があった。当該国で人気の種目を実施できるようにすることで、スポンサーやテレビ放映権の獲得にも好影響をもたらし、五輪開催の魅力を高めようとする狙いがある。バッハ会長は審議後、「五輪改革への大きなヤマを越えた。招致プロセスと実施競技の見直しは大きなテーマだった」と胸を張った。

 22年冬季五輪は、高騰する開催コストへの懸念から招致都市の辞退が相次ぎ、当初の6都市は北京とアルマトイ(カザフスタン)だけに。夏季五輪招致でも、立候補都市は12年が9、16年が7、20年が5(当初は6)と減少が続いている。分散開催や共催を認めることで、近年は事実上、大都市に限られている五輪招致のチャンスを小規模都市にも与える。

 既存施設や仮設施設の活用を奨励し、招致プレゼンテーションの費用も一部負担する。財政難に苦しむ平昌五輪の大会組織委員会にはそり競技の国外開催も助言しており、開催都市に多くの選択肢ができた。「1つの都市、1つの選手村」という理念は継承しつつ、コンパクトな開催計画に縛られない柔軟路線への転換で、五輪が新時代を迎える。

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2014年12月9日のニュース