羽生 ファイナル連覇へ「挑戦者」…逆境の先に“いい景色が”

[ 2014年12月1日 05:30 ]

エキシビションで観客を魅了する羽生

フィギュアスケートGPシリーズ第6戦 NHK杯最終日

(11月30日 大阪・なみはやドーム)
 男子4位に入ってファイナル(11日開幕、スペイン・バルセロナ)の出場権を獲得した、ソチ五輪金メダリストの羽生結弦(ゆづる、19=ANA)が競技から一夜明け、取材に応じた。五輪王者がGPの表彰台を逃す屈辱を前向きに捉え、日本男子初の連覇が懸かるファイナルはチャレンジャーとして臨む。羽生や男子を制した村上大介(23=陽進堂)らはエキシビションに出演。アイスダンスでキャシー・リード、クリス・リード組(木下ク)は合計130・88点で6位、平井絵己、マリオン・デラアスンシオン組(大阪ク)は112・04点で最下位の8位だった。

 置かれている立場は、羽生が誰よりも分かっていた。中国杯での激突から万全ではない状態でNHK杯に臨み、ファイナル切符をギリギリで獲得。GP2試合で4回転は一度も決まらず、ジャンプで計7度も転倒した。「今季、出遅れているという感触はある。ここまで来て尻に火が付かないようじゃ話にならない。GP2戦ともマイナスだったんで、掛け算でプラスになるようにしたい」。笑みも交えて取材に応じたが、闘争心は燃えさかっていた。

 「ここまでボロ負けしたのは小学生以来」というNHK杯の敗因は「焦り」と分析した。完治していない左太腿、練習不足は言い訳にしない。「焦りが響いていたのかな。インタビューを見ていても、全部言葉が早かったし、6分間練習も落ち着こうとしているけれど、周りも見なきゃって」。中国杯で激突した6分間練習には、まだ恐怖がある。「今後、解消できるのか」と問われると、「間違いなく」と力強く答えた。

 まだ完調には程遠いため、今大会はショートプログラム(SP)、フリーともに難度を下げた。日本男子初の連覇が懸かるファイナルは2週間後に行われる。「連覇とか関係ない。最後の1枠をギリギリでつかんだチャレンジャーとして、思い切って一番上を狙っていきます」。最高難度のプログラムについては「たぶん無理」と話し、年内のファイナルと全日本選手権は今大会と同じ構成で臨む予定だ。

 五輪を制した昨季から一転、今季は苦境に立たされているが、19歳は厳しい現状を楽しみさえしている。「たぶん進化している段階で、そういう過程にいる。乗り越えられた先にある景色は絶対にいいと信じているからこそ、楽しんでいける」。前を見据え、はっきりと言った。「逆境は嫌いじゃない」。不屈のプリンスが、完全復活への道を歩んでいく。 

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