羽生 不安あるとすれば「体力低下」と「激突による恐怖心」

[ 2014年11月26日 05:30 ]

8日の中国杯男子フリーの直前練習中に中国の閻涵(右)と激突し、倒れたままの羽生結弦

羽生 NHK杯強行出場へ

 脳振とうが心配された脳は検査で異常がないことが判明しているし、頭部や下顎の挫創は演技に影響を与えるような負傷ではない。右足首の捻挫についても負傷時にスケート靴を履いていたから、それほどひどい捻(ひね)り方をしたとは考えにくい。問題は腹部と左大腿部の挫傷の回復具合ということになる。

 挫傷とは、皮膚に傷がなく、内部の組織が損傷する負傷のことだ。羽生選手の場合、全治2~3週間との診断が出ている。負傷直後にも演技できたのだから、大きなケガではない。いわゆる「打ち身」「打撲」だとみられる。翌日に痛みが増すことはあるが、既に2週間以上経過しており、筋肉内に血腫などが見られないかぎり、試合出場に支障はないと思う。

 不安があるとすれば体力面。練習を休んだことで体力が落ちる可能性があるからだ。ただ羽生選手は若いし、これまでの蓄積もある。練習した上で問題ないと判断したのではないか。他の選手とぶつかって負傷したため、恐怖心の克服も課題になるが負傷直後に演技したことからも心配する必要はないと思う。(佐賀大医学部整形外科・馬渡正明教授)

 ▼中国杯VTR 7日のショートプログラム(SP)でミスもあって82・95点の2位で発進すると、8日のフリーは演技前の6分間練習で閻涵と正面衝突。頭と顎から流血してフラフラだったが、頭に包帯を巻き、顎にばんそうこうを貼って強行出場した。ジャンプで5度転倒したが、何とか滑りきり、154・60点のスコアを見ると号泣。合計237・55点で2位に入った。9日に緊急帰国して検査を受け、頭部と下顎が「挫創」、腹部と左太腿は「挫傷」、他にも右足関節捻挫と診断され、全治は約2~3週間の見込みと発表された。

続きを表示

この記事のフォト

2014年11月26日のニュース