なんで?中国のハイスコア…日本 最終鉄棒で0.100差負け銀

[ 2014年10月8日 05:30 ]

体操の世界選手権男子団体総合で中国に逆転優勝を許し、落胆する内村航平(左)と白井

体操世界選手権第5日

(10月7日 中国・南寧)
 激闘の末に体操ニッポンの夢は散った。体操世界選手権男子団体総合決勝は7日、中国の南寧で行われ、日本は合計273・269点で銀メダル。273・369点で史上最多の6連覇を達成した中国にわずか0・100点及ばず、78年ストラスブール大会以来、36年ぶりの頂点に届かなかった。主将の内村航平(25=コナミ)は平行棒を除く5種目に出場し、ほぼ完璧な演技を披露したものの、スコアが表示されるとぼう然。9日の個人総合で前人未到の5連覇を達成し、悔しさを晴らす。

 現実を受け入れられない。耳をつんざく大歓声の中、内村が驚きの表情で口を開け、屈辱のスコアを眺めた。最終種目の鉄棒。日本は先に競技を終え、2位で追う中国を待った。最終演技者の張成龍の得点が、15・866点を下回れば36年ぶりの金メダル奪回。だが、地元の大歓声に乗って張成龍が完璧な演技を披露し、得点は驚異の15・966点。18の演技を積み重ねた結果、わずか0・100点差で頂点に届かなかった。

 「言いたいことは山ほどあるけど、中国の最後の演技は素晴らしかった。完全アウェーで0・1点。場所の分の0・1点かな。しようがない」

 序盤は理想の展開だった。床運動、あん馬と日本が得意の2種目を終えた時点で、中国を3・583点上回った。つり輪で2点縮められたものの、最終種目・鉄棒を残して0・991点リード。鉄棒は加藤が14・200点にとどまったが、日本のアンカーを務めた内村が好演技。力強いガッツポーズと自慢のどや顔も見せたが、日本のミスに観客が拍手を送る完全アウェーの中、最後の最後に大逆転を許した。

 「やれることは100%以上、出し切った。満足はしていないけど、いい演技ができたことは良かった」

 冨田が“栄光の架け橋”で締めくくり金メダルを獲得した04年アテネ五輪。当時高校1年だった内村は、深夜テレビで観戦し、心を奪われた。それ以来、内村はずっと団体総合の世界一を狙ってきた。五輪や世界選手権前、無敵の個人総合への意気込みを問われた時でも、「まず団体で金メダルを獲りたい」と言い続けてきた。

 東京開催の11年世界選手権後、銀メダルを携帯電話の待ち受け画面に設定し、翌年のロンドン五輪へ闘志を高めたこともあるが、今回はやめた。「めんどくさくなった」と笑うが、真意は別だ。床運動の白井、あん馬の亀山というスペシャリストが加入するなどチームは変わった。最年長となり、初めて主将に就任。「僕が引っ張らないといけない。演技で見せないといけない」。新たな気持ちと新たなメンバーで世界の頂に挑んでいた。

 メダルの色は銀だったが、これで内村の世界選手権のメダルは14個に。日本最多の監物永三の15個に王手をかけた。9日は、前人未到の5連覇がかかる個人総合決勝。「気持ちを切り替えて、疲労を抜いて、6種目できるように頑張りたい」。団体で悔しさを味わった万能キングが、個人で金字塔を打ち立てる。

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