谷井、陸上金1号!自己&大会新 リオ五輪集大成へ加速

[ 2014年10月2日 05:30 ]

男子50キロ競歩で金メダルを獲得し、日の丸を掲げる谷井

仁川アジア大会第13日

 陸上の男子50キロ競歩で谷井孝行(31=自衛隊)が、3時間40分19秒の自己ベスト&大会新記録で競歩では日本勢初の金メダルを獲得した。今大会の陸上の金メダル1号で、来夏の世界選手権(中国・北京)の代表にも一番乗り。16年リオデジャネイロ五輪の表彰台へ、アジア制覇で力強く第一歩を踏み出した。

 国際大会の経験は豊富でも、谷井の印象は常に地味だった。五輪は3度、世界選手権にも5度出場しているが、入賞に届いたことはない。「いつも誰かの陰に隠れてて、こういうものに縁がなかった。金メダルが獲れたんでうれしい」。世界大会で入賞の実績がある、同じ富山出身で高校時代からのライバル・山崎に完勝。競歩界初の金メダルで、ついに日の当たる場所に躍り出た。

 実業団の佐川急便に所属していたが、今春、より良い環境を求めて自衛隊へ。数々の五輪メダリストを輩出してきた自衛隊に身を置くことで、退路を断った。「プレッシャーをしっかり受けて、乗り越えた上でいかないと五輪のメダルには届かない。アスリートとしてはプレッシャーがかからないと寂しいでしょ」。右足鵞足(がそく)炎で練習が計画通りに進まなかったが、アジア制圧という重圧を振り切った。

 中学時代は野球部で主に捕手を務めた。高岡向陵高で長距離ランナーに転身したが、すぐ右すねを故障。リハビリを兼ねて始めた競歩で、高2時に世界ユース選手権1万メートルで銅メダルを獲得するなど、頭角を現した。トレーニング代わりに、夫人の実家まで約20キロの道のりを歩くことも。最近は量だけでなく質を追求した練習をしているが、オフに道を歩くと一般人に抜かれる。「普段は遅いんですよ」と笑うが、勝負のロードならアジアNo・1だ。

 金メダルを獲得し、来夏の世界選手権代表にも決定した。「ここまではしっかりやってこられた。次に欲しいのは世界選手権のメダル。最終的な目標はリオのメダルなんで、あくまでも通過点」。世界大会での競歩初メダルへ、着実に歩みを進める。

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