“錦織2世”西岡が金メダル 40年ぶり快挙「少しは話題に…」

[ 2014年10月1日 05:30 ]

男子シングルスで優勝し、日の丸を背に喜ぶ西岡良仁

仁川アジア大会第12日

 テニスの男子シングルス決勝が行われ、第5シードの西岡良仁(19=ヨネックス)が第1シードの盧彦勲(台湾)をストレートで下して、同種目の日本人では74年の坂井利郎以来、40年ぶりとなる金メダルを獲得した。9月の全米オープンで準優勝した錦織圭(24=日清食品)と同じ米フロリダ州のIMGアカデミー出身。20年東京五輪の星となり得る「錦織2世」が快挙を達成した。

 サウスポーから放たれるフォアのウイナー(決定打)とともに西岡は雄叫びを上げた。日本男子40年ぶりの快挙に両腕でガッツポーズ。「金を狙ってたんで本当にうれしい。40年ぶりとは知らなかったけど、これで少しでも日本で話題になってくれるかな」と爽やかな笑顔と高揚した声で喜びを表した。

 第1セットの第1ゲームで相手サービスゲームをブレークして、いきなり5ゲーム連取。流れをつかんで第1セットを奪った。第2セットも第4ゲームから5ゲーム連取。世界ランク168位の19歳は、同42位でウィンブルドン8強入りの実績がある格上をショットの精度で圧倒した。

 「ここまでうまくいくとは思わなかった。リードできた分、気持ちも楽にできた」。昨秋には練習態度の悪さからコーチに遠征予定を取り消されるなど精神面のムラが課題だったが、この日は試合中に「集中!!」と大きな声で自らを律した。

 錦織と同じく盛田ファンドの支援を受け、IMGアカデミーに留学した。同ファンドは支援継続のハードルを毎年設けており、それを最後まで全うできたのは錦織と西岡の2人だけ。「比べられるのはうれしい。でも自分と同い年の時に(錦織は)もっと上にいた。まだ負けている」。全米オープンでは4大大会の予選を初挑戦で突破してツアーデビュー。才能の片りんを示した。体調不良で1回戦を途中棄権したものの、錦織の決勝戦は次の試合があった上海でチェック。「モチベーションが上がった」といい、常に先輩の存在を刺激に変えている。

 20年東京五輪は24歳で迎える。「リオもうまくいけば可能性はある。東京五輪は絶対に出たいし、メダルを狙いたい」。五輪での男子シングルスの日本人メダリストは20年アントワープ大会銀の熊谷一弥が最後。だが、40年前の歴史を塗り替えた西岡にとっては夢物語ではない。

 ▼74年テヘラン大会男子シングルス金メダリスト坂井利郎氏 錦織が全米オープン決勝に進んだ時に行われていたチャレンジャー大会でも西岡は優勝していて、非常に伸びていますね。僕が勝って以来、40年ぶりということですが、今はユニバーシアードでもアジア大会でも金メダルを獲るのは大変ですから、西岡は大きな勲章を獲りました。決勝の相手はウィンブルドンでベスト8に進んだこともあるので、そんな選手に勝ったのは凄い。日本のテニスに勢いがつきますね。 (日本テニス協会常務理事)

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