遠藤 やっと初日、表情変えず「長かったようで早かった気も」

[ 2014年9月22日 05:30 ]

高安(右)を押し出し初白星を挙げた遠藤

大相撲秋場所8日目

(9月21日 東京・両国国技館)
 ホープの平幕・遠藤が高安との平成生まれ対決で今場所初白星を挙げ、ストレート負け越しを免れた。同じく学生出身の人気力士だった高砂親方(元大関・朝潮)は自身の経験を基にエールを送った。優勝争いは横綱・白鵬と鶴竜が全勝をキープ。1敗は大関・稀勢の里、平幕・逸ノ城の2人となった。
【8日目取組結果】

 今場所初めて勝ち名乗りを受けても、遠藤の鉄仮面は変わらなかった。支度部屋で報道陣に囲まれても慎重に言葉を選び、喜びは控えめだ。「(勝ち名乗りは)いいですね。(8日目まで)その日の一日一番に集中していました。長かったようで、早かった気もします」。あと1敗で負け越す状況は変わらない。残り7日間の厳しい戦いを思うのか、国技館を去るまで笑顔を見せなかった。

 過去2勝2敗と五分の高安戦。立ち合いで突き放し、右前みつをつかむと左からのおっつけ、喉輪で一方的に攻め立てて押し出し。復調のきっかけとなり得る会心の内容だ。北の湖理事長(元横綱)は「右半身だが、左手が攻める形になっていた。ここからの勝ち越しは現実的ではないが、この1勝で流れを変えないといけない」と人気力士の奮起に期待した。

 今場所の遠藤と似た経験をした高砂親方も「負けても向かっていくこと。気持ちだけは逃げてはいけない」とエールを送った。同親方は学生横綱、アマ横綱の実績を持ち、注目を浴びながら78年春場所で幕下60枚目格付け出しデビュー。所要4場所で新入幕を果たし、幕内2場所目の79年初場所で大関・貴ノ花を破るなどの活躍を見せた。だが次の春場所は東前頭筆頭で初日から8連敗。このつらい体験を基に「稽古場で自信をつけて本場所で試す。その繰り返し。自分のいい相撲を思い出し、乗り越えるしかない」と?咤(しった)した。

 過去には逆境で離れ業を演じた力士がいる。栃錦は1951年春場所で7連敗から8連勝。最近でも豊ノ島が11年初場所と秋場所で8日目1勝7敗から7連勝で勝ち越した例がある。既に横綱、大関戦を終えている遠藤が、ファンの記憶に名を刻むチャンスで真価を発揮する。

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