豪栄道 遠い“真の大関1勝”…稽古不足響く「集中したい」

[ 2014年9月17日 05:30 ]

嘉風(左)に小股すくいで破れた豪栄道

大相撲秋場所3日目

(9月16日 東京・両国国技館)
 新大関・豪栄道が嘉風の小股すくいに屈して2敗目を喫した。7月の名古屋場所に負った左膝外側半月板損傷は回復しているものの、稽古不足が響いて敗戦。土俵際でのあと一歩が出ずに苦しむ28歳が黒星先行で苦境に立たされている。3横綱は3連勝。大関以下の無敗は新入幕の逸ノ城、40歳の旭天鵬の平幕2人だけとなった。
【3日目取組結果】

 これが新大関の重圧なのか。豪栄道は先場所初日に敗れた嘉風を立ち合いから鋭く押して一気に前に出る。だが、土俵際で「ちょっと慌てた」と勝ちたい気持ちがあふれた。うまく回り込まれ、自身の上体が高くなったところを下から潜られると防戦一方。右から首投げ、小手投げ、上手投げと連発したが全てが強引だった。逆に体勢を崩し、最後は小股をすくわれて腰から砕けて仰向けに。前日は不戦勝で実質的には“2戦2敗”となり「弱気にならないように一番一番集中したい」と前を向くしかなかった。

 初日の高安戦でも土俵際まで押し込んだところを突き落とされた。あと一歩で泡を食ってしまうという同じミスを犯しての黒星先行に、北の湖理事長(元横綱)は「負けられない気持ちがある。もう少し余裕を持っていればあのまま突き出せたのに」と精神面の課題を強調。朝日山審判部副部長(元大関・大受)は「立ち合いから緊張しているように見えた。十分に稽古しないと不安も残る」と分析した。先場所中に左膝を痛めた影響により、関取衆と申し合いを再開したのは今月6日。“付け焼き刃”で仕上げた状態では、重圧がのしかかる大関の地位は甘くなかった。

 それでも、帰り際に新大関は強い口調で「一番勝てば落ち着いてくる。これからこれから」と残り12日間を見据えた。場所前には師匠の境川親方(元小結・両国)から、こんな言葉を贈られた。「おまえは人より勘が良いんだから感覚をつかめば大丈夫。心配するな」。これまでも場所前に肘の手術や肉離れなどを負って苦境に立たされ、そのたびに乗り越えてきた28歳。師匠も認める類いまれな才能と生粋の負けじ魂を発揮できれば、今回の峠も越えられるはずだ。

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2014年9月17日のニュース