豪栄道新大関場所でいきなり土“看板”の重圧に負けた

[ 2014年9月15日 05:30 ]

高安(下)に敗れ新大関場所を黒星発進の豪栄道

大相撲秋場所初日

(9月14日 両国国技館)
 新大関の豪栄道(28=境川部屋)が東前頭2枚目の高安(24=田子ノ浦部屋)に突き落とされて黒星スタートとなった。大関昇進を決めた7月の名古屋場所で痛めた左膝外側半月板はほぼ回復。だが、通常の場所と同じ稽古量を積めなかったこともあって、新大関の重圧に勝つことができなかった。3横綱はいずれもはたき込みで白星発進。また、秋場所初日としては12年ぶりの満員御礼札止めとなった。

 実に厳しい船出だ。豪栄道は高安に対して立ち合いで得意の右差し、左前まわしの体勢に。だが、前に押し込みながら左手で渡し込みの動作をした瞬間に足が止まった。左上手を握られ、揺さぶられ、先場所負傷した左膝にも負担が掛かる状態に。その後、もろ差しで必死に前に出たが土俵際で突き落とされてばったりと前に落ちてしまった。物言いがついて審判団が協議するも軍配通り高安の勝ち。左膝にはテーピングを施さずに臨み「内容は悪くない」と前を向いたが、新大関の重圧は拭い切れていなかった。

 誰よりも今場所に懸けてきた。新大関が“看板”となるはずだった8月上旬の夏巡業は休場を選択。豪栄道のトレーナーを務める岡武聡氏は「膝に水がたまって歩行も困難だった。もし巡業に参加したら秋場所は厳しかった」と振り返る。その間は電気、超音波、ハリなどさまざまな治療を実施。ようやく稽古を再開した8月中旬以降には神経に電流を流して筋肉を鍛えるEMS(電気的筋肉刺激)も行った。稽古場でも徐々に実戦的な動きを増やし場所直前に新大関は「やることは全部やった」と胸を張った。岡武氏も「99%回復。残り1%は通常のように稽古量が積めていないこと」と説明。その1%が重圧につながってしまったか…。北の湖理事長(元横綱)は「渡し込んで動きが止まってしまった。負けられない気持ちが強すぎる」と話した。

 この日は横綱、大関の特権である地下駐車場からの場所入りではなく、1階から歩いて入場。だが、それも「負けたから」と2日目から方針を変更する。「引きずらないように反省する」。過去に初日黒星を喫した新大関が優勝した例はないが、口上でも述べた「大和魂」で逆境を乗り越える気力はある。

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2014年9月15日のニュース