登坂 連覇!先行許すも慌てず…女王沙保里に「近づきたい」

[ 2014年9月11日 05:30 ]

女子48キロ級で優勝し、栄和人監督(右)と喜ぶ登坂絵莉

レスリング世界選手権第3日

(9月10日 ウズベキスタン・タシケント)
 女子競技が始まり、4階級を実施した。最軽量の48キロ級は登坂絵莉(21=至学館大)が決勝でマトコワスカ(ポーランド)を10―2で下し、大会連覇を達成。非五輪階級となった55キロ級では初出場の浜田千穂(21=日体大)が4戦すべて逆転で制し、初優勝を飾った。69キロ級では昨年の67キロ級銅メダリスト・土性沙羅(19=至学館大)が試合終了間際に逆転を許し、銀メダル。60キロ級の坂上嘉津季(21=至学館大)は2回戦、敗者復活戦と敗れメダルを逃した。

 最後まで安定感があった。決勝の登坂は第1ピリオド1分30秒すぎ、タックルをかわされ2点を先行されても慌てない。その1分後に追い付くと、相手の脚をつかんで回転させる「ローリング」で加点し逆転。猛攻を緩めず、第2ピリオド終盤には10―2と突き放して圧勝。マットの上で小さくガッツポーズした。

 運にも恵まれた。ロンドン五輪の銀メダリストで、出産から復帰して連戦連勝だったスタドニク(アゼルバイジャン)は反対のブロックで消えた。「去年はスタドニクのいない大会だった。今回は対戦はできなかったけど、スタドニクに勝った選手に勝てたので、去年よりずっとうれしい」と笑顔を見せた。

 女子日本代表の栄和人監督が「何でもできるオールラウンダーという意味では吉田、伊調より上」と評価する21歳は、今大会でも圧倒的な強さを見せた。初戦から3試合連続のテクニカルフォール勝ち。準決勝の北朝鮮選手も4―0と無失点で切り抜けた。現役世界女王で唯一、日本協会が指定する「20年東京五輪ターゲット選手」。スタドニクが世界1位にランクされる中、本当の女王は誰か証明してみせた。

 今大会前には精神面の成長も光った。7月末に首を痛めた。従来の登坂なら、負けん気の強さから練習ができなければ泣いた。だが、8月の新潟・十日町合宿では「起きてしまったことは仕方がない」と淡々と話す姿があった。泰然自若の境地に到達しようとしていた。
 世界選手権の連覇を果たし、海外メディアに日本の強さを問われ「練習量と真面目さ、それに切磋琢磨(せっさたくま)するところ」と答えた。「勝ち続けるのは難しいけど挑戦したい。(吉田)沙保里さんまではいけなくても、一人でも近づきたい」と高い目標を口にしていた。

 ◆登坂 絵莉(とうさか・えり)1993年(平5)8月30日、富山県高岡市生まれの21歳。高校時代に国体優勝経験のある父・修さんの影響で9歳で高岡ジュニア教室入り。富山・南星中時代に全国中学選手権を制し、名門・至学館高進学。2、3年時にインターハイ連覇。世界選手権初出場の12年は銀、昨年は金メダルを獲得。1メートル52、普段の体重は50キロ。家族は父、母・安津子さん、兄・直人さん。

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