師弟2人の夢続く チャンコーチの“鬼指導”で錦織急成長

[ 2014年9月10日 05:30 ]

スタンドから見つめるマイケル・チャン氏(右)(AP)

テニス全米オープン最終日男子シングルス決勝

(9月8日 ニューヨーク ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター)
 試合が終わった時、錦織と同じ悔しさをかみしめるように、コーチのマイケル・チャン氏(42=米国)は立ち尽くしていた。96年大会ではサンプラス(米国)にストレート負けで準優勝。自らが届かなかった大会制覇の夢を錦織に託したが、歴史は繰り返された。

 「厳しい試合だった。グランドスラムの初タイトルを懸けた試合はそんなに簡単なものではないということ」。あと一歩及ばなかったが、今季からコーチ契約を結んだチャン氏の指導で錦織が長足の進歩を遂げたことは間違いない。

 2人の出会いは11年11月。WOWOWで企画された対談でチャン氏は錦織の課題を遠慮なく指摘した。同年のスイス室内、決勝でのフェデラー戦を前に「彼は偉大な選手」などと対戦相手への憧れを口にした錦織について「それが君の最初のミステーク。コートに入ったら“おまえは邪魔な存在なんだ”と言い切る決意が必要」などとたしなめた。

 錦織にはよほど印象的だったのだろう。昨季、コーチを探した時に、同じアジア系で体格も近いチャン氏に白羽の矢を立てた。トスの位置、サーブの打ち方…。錦織は手にマメをつくり、高校の部活動のような反復練習に取り組んだが、2人の信頼関係は深い。準優勝に満足していないのはチャン氏も同じ。「この敗戦から学んで、次回はもっといい結果を出したい」とすでに先を見据えていた。

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2014年9月10日のニュース