松岡修造氏 錦織快勝を分析、ジョコ沈めた世界一のバックハンド

[ 2014年9月8日 05:30 ]

ジョコビッチから世界トップレベルと称された錦織のバックハンド(AP)

テニス全米オープン第13日男子シングルス準決勝  錦織圭3―1ノバク・ジョコビッチ

(9月6日 ニューヨーク ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター)
 世界王者が全く王者らしくなくなってしまった。そうさせたのは圭のテニスだ。世界一の守備力を誇るジョコビッチに対して、その守備力を完全に上回る攻撃力、想像力を発揮して何もさせなかった。あれほど動きの止まってしまったジョコビッチはここ数年見たことがない。今大会は調子もよかったはずだが、試合が終わった時には「おまえのテニスの方が上だったよ」と圭に声をかけたのではないだろうか。

 この日の圭のストロークは5月のナダル戦(※1)を思わせるほどよかった。どんどんベースラインの内側に入って仕掛けていく。あそこまでコートの内側に入ってバックハンド、ドロップショット、スピンを打っていける選手は今までにいなかった。あえて挙げるとすればフェデラーだろうが、フェデラーに圭ほどのバックハンドの良さはない。

 圭のバックハンドは間違いなく世界No・1。ジョコビッチもバックハンドのストロークを得意としているが、それ以上に安定していてコンパクトなので攻撃もできる(※2)。そのスタイルはかつてないほど攻撃的で、日本人でなくてもファンになるようなテニス。世界のテニスを変えてしまった、と言えるほどだ。

 今のテニスならチリッチにも勝てる。チリッチも今までで一番いいテニスをしているが、基本はパワーで押してくるタイプだ。大事な場面でミスが出るのが一番の弱点。接戦に強い圭なら、優勝までいけるはずだ。(スポーツキャスター)

 ※1 マドリード・オープン決勝。ナダルが絶対的な強さを誇るクレーコートで、錦織が相手を圧倒。ところが試合中に股関節の痛みが悪化し、第3セットで無念の途中棄権。

 ※2 錦織の決定打の数は37本あり、そのうちフォアとバックで13本ずつ。ジョコビッチは38本中フォアが13本、バックは錦織の半分以下の6本にとどまった。

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