錦織「当たり前」の16強、日本男子92年ぶり8強いける!

[ 2014年9月1日 05:30 ]

ストレート勝ちで16強入りを決めた錦織(AP)

全米オープンテニス第6日

(8月30日 ニューヨーク ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター)
 男子シングルスで第10シードの錦織圭(24=日清食品)が6年ぶりの16強入りを果たした。第23シードのレオナルド・マイエル(27=アルゼンチン)に6―4、6―2、6―3でストレート勝ちを収めた。4回戦は7月のウィンブルドン選手権で敗れた第5シードのミロシュ・ラオニッチ(23=カナダ)との再戦。日本男子では1922年の清水善造以来92年ぶりとなるベスト8進出に挑む。女子シングルス3回戦ではウィンブルドン覇者のペトラ・クビトバ(24=チェコ)は敗れた。

 初めての時は快挙だったものが6年たってもう「当たり前」になっていた。それこそが錦織の凄さであり、トップレベルの選手になった証でもある。16強入りにも感激とは程遠い落ち着いた表情で、錦織は「全然感覚は違う」と言った。

 「18歳の時はほぼ満足して、上の空で次の試合を戦った。それに比べれば当たり前のようにここまで来た。まだまだ先は長い」。通算6度目、この2年で5度目となる4大大会16強入り。マイエルの鋭いサーブに素早く反応し、第1セットの第1ゲームから何度もブレークチャンスを握った。第3セットでは初めて相手にブレークを許したが、0―3とリードされてから6ゲーム連取の猛攻。「ちゃんと3セットで試合を終えられたのは進歩」と振り返った。

 多少攻めの遅いところはあったが、リターンにさえが戻ってきたのは大きい。ベスト8を懸けた次戦は、ウィンブルドンの4回戦でも対戦したラオニッチ。時速225キロにも達するサーブを武器とするだけにリターンの出来が勝敗を左右する。ウィンブルドンでは手も足も出ずに完敗したが、錦織の父・清志さんは「芝ではどうしようもないが、ここならラオニッチのサーブ(の威力)も3%ぐらいは落ちるはず」とコートの違いに勝機を見いだす。球足が速く、ビッグサーバーに有利な芝に比べれば、ハードコートの方が球は高く弾み、少しは返球しやすくなるからだ。

 実際の数字上は「3%」以上のチャンスがある。3回戦までのラオニッチのエース獲得率は、ウィンブルドンの31・19%から今大会は20・43%まで低下。サービスゲームでのポイント獲得率も82・47%から74・61%まで落ちている。チャンスは十分。日本男子92年ぶり、錦織にとって大会初の8強入りとなれば、それはまた新たな歴史になる。

 ▽錦織の08年大会VTR まだ18歳、世界126位だった錦織は、第29シードのモナコ(アルゼンチン)との初戦で試合中に両脚をけいれんさせながらも勝利。2回戦のカラヌシッチ(クロアチア)戦は2セットを先取したところで相手が棄権した。3回戦は世界4位のフェレール(スペイン)をフルセットの末に破る大番狂わせ。前身の全米選手権で37年に中野文照、山岸二郎が達成して以来71年ぶりの日本男子4回戦進出を果たした。4回戦は第17シードのデルポトロにストレートで敗れ、8強入りは逃した。

 ≪里田まいが応援≫ヤンキース田中将大投手の妻でタレントの里田まいが錦織に声援を送った。関係者とともに観戦に訪れ、スタンドで試合を見守った。錦織の勝利が決まると拍手を送って喜ぶなど、野球とは異なるテニスの雰囲気を満喫した様子だった。

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