リオ期待の20歳 田代が銅!女子63キロ級2大会ぶりメダル

[ 2014年8月29日 05:30 ]

銅メダルを獲得した田代は笑顔で歓声に応える

柔道世界選手権第4日

(8月28日 ロシア・チェリャビンスク)
 女子63キロ級の田代未来(20=コマツ)は準決勝で昨年女王のヤーデン・ジェルビ(イスラエル)に敗れたものの、3位決定戦を制し、初出場で銅メダルを獲得した。カデ(15~17歳)ジュニア(21歳未満)の世界選手権を制した逸材が、3年代完全制覇への足掛かりをつかんだ。また、男子81キロ級の永瀬貴規(20=筑波大)は準々決勝で世界ランク1位のアフタンディリ・チリキシビリ(グルジア)に惜敗。3位決定戦でも前回大会覇者のロイク・ピエトリ(フランス)に敗れ、メダルを逃した。

 表彰台を下りると、複雑な表情を浮かべた。「優勝を目指していたので悔しい気持ちでいっぱい」。だが、初出場の田代がこの階級の日本のメダルを2大会ぶりに奪回したのも事実。最後は「負けたけど本当に楽しく柔道ができた。手応えをしっかり感じることができた」と気持ちを切り替え、前を向いた。

 4戦連続の一本勝ちで準決勝に進んだ。その準決勝では前回女王のジェルビから内股で技ありを先制。だが、寝技に引き込んだところを逆に抑え込まれた。3位決定戦では気持ちを切り替え、再び一本勝ち。全日本女子の南條充寿監督は「攻撃的な柔道を貫き、一歩も引かなかったことは評価したい」と称えた。

 世界カデ、世界ジュニアに加え、第1回のユース五輪も制した逸材。だが、悲劇が訪れたのは、淑徳高2年の夏だった。

 左膝前十字じん帯損傷、内側じん帯断裂という大ケガを負った。1カ月の入院生活を経て、走れるようになるまで3カ月。畳の上で軽い稽古ができたのは半年後だった。

 翌年には再び半月板を痛めて再手術した。今も「目をつぶってバランスをとるだけでも、自分の脚じゃないみたい」と言う。だが失った感覚を嘆くより、前に進むことの大切さを教えてくれたのは、コマツの先輩で同じ階級の谷本歩実コーチだ。今年2月、フランスで約1カ月、マンツーマン指導を受け「まだ若いから、ではなく今すぐ五輪や世界選手権の金メダルを獲らないと、夢のままで終わるよ」の言葉が心に刺さった。

 実績で劣りながら将来性を買われ出場権をつかんだ今回。表彰台で、首脳陣の期待に応えた。まだ20歳。名前の漢字と同じように“未来”はある。「これからもっともっと強くなれると思う」。ブロンズの輝きは、王座への一歩であると同時に、本当の天才復活への足掛かりでもある。

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