鶴に続き馬も…大砂嵐 連日の金星!初挑戦からは史上初

[ 2014年7月19日 05:30 ]

<大相撲名古屋場所6日目>日馬富士(右)を引き落としで破る大砂嵐

大相撲名古屋場所6日目

(7月18日 愛知県体育館)
 前日に初金星を挙げた平幕・大砂嵐が今度は横綱・日馬富士を逆転の引き落としで破った。横綱初挑戦から2日連続金星は史上初めて。1場所2個以上の金星は03年九州場所の栃乃洋以来、初金星から横綱戦2連勝は84年秋場所の小錦以来となった。ラマダン(断食月)に入り、体調を崩している中でもアフリカ大陸初の力士が旋風を巻き起こしている。全勝は横綱・白鵬、大関・琴奨菊と平幕の高安の3人となった。
【取組結果】

 「神がかり」という一言で片付けるには凄すぎる。前日に鶴竜を破ったばかりの大砂嵐が日馬富士も倒すと、館内は歓声を超え、どよめきが起きた。横綱初挑戦から2日連続の金星は史上初の快挙。だが本人は「横綱は強いです。まだ場所は終わってない。いつも通り」と恐縮しきり。生中継のインタビューでは笑顔を浮かべたが、支度部屋では淡々とした表情に戻った。

 どんな相手でも立ち合いはエルボーのような右からの“かち上げ”を貫く。この日も敢行したが「横綱は低かった」と日馬富士に顎を引かれて踏み込まれたため、不発。右を差されて一気に寄られた。だが、「全然、緊張しなかった」。土俵際で右から引き落としを繰り出すと、横綱が前のめりに倒れた。

 ラマダンのため、千秋楽まで日没まで飲食できない。開始から20日が経過し、しかも幕内上位での取組が続いて体調面は最悪だ。「きょうは一番きつい…」。鶴竜戦を終えた深夜0時半。38度を超える熱が出て病院で点滴を打った。部屋に戻ったのは午前3時。3時10分から断食に突入するとあって慌てて夜食を取った。その後は「寝たり起きたりで眠れなかった」と確保できた睡眠は2~3時間。イスラム教には病人は断食を回避できるルールもあるが、「相撲と宗教はミックスしない」と続行を選択した。両親から届いた「あなたの夢が近くなった」というメールを励みに朝稽古で汗を流して横綱戦に備えた。

 これで白星が2つ先行し、来場所の新三役も視野に入ってきた。大砂嵐が早ければあす20日にも対戦する白鵬に勝てば、1983年九州場所の大ノ国(後の横綱・大乃国)が千代の富士、隆の里、北の湖を破って以来の同一場所3個目の金星となる。

 「日本のラーメンはほとんど豚のエキスが入っているから食べられない。おいしい鶏のラーメン作って!」。軽い口調で語ったが、異国でイスラムの教えを貫くのは精神的にも厳しい。ラマダンの中での初挑戦からの連続金星。史上初めてという以上に価値がある。

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