白鵬、V30目指す 王会長&真央&豊臣秀吉から刺激

[ 2014年7月1日 05:30 ]

名古屋場所の新番付を手にする横綱白鵬

 日本相撲協会は30日、大相撲名古屋場所(13日初日、愛知県体育館)の新番付を発表し、優勝30回の大台が懸かる横綱・白鵬(29)が3場所続けて東正位に座った。尊敬する大鵬が持つ史上1位の優勝32回も視野に入れる最強横綱は、名古屋市緑区の宮城野部屋宿舎で記者会見。それぞれの世界で頂点を極めた3人の人物を参考に大記録を目指すことを誓った。

 大鵬(32回)と千代の富士(31回)しか眺めたことがないV30という景色。その領域まで残り1つに迫った白鵬は「2人の横綱が立った景色が、どんなものかと想像している」と思いを膨らませると同時に、大台突破に向け“3人”から刺激を受けたことを明かした。

 1人目はプロ野球ソフトバンク球団会長の王貞治氏。ともに生前の大鵬さんと親しかったこともあり「注目されるが、32回と考えては硬くなる。35、40回と思えば楽になる」と助言を受けたという。通算868本塁打を誇る“世界の王”から記録への心構えを聞き「余裕を持って自分の相撲を取る」と考えるようになれた。

 2人目はフィギュアスケートの浅田真央。金メダルを期待されながらメダルなしに終わった2月のソチ五輪をテレビ観戦した際に「あれだけ稽古をしても、本番でかみ合わなければ結果を残せないのか…」と感じた。浅田の無念さを誰よりも感じたからこそ、自らの限界という現実と向き合えた。「これ以上強くはなれない。この体、精神を維持していく」と割り切り、稽古場で基本に立ち返ることができた。

 3人目は豊臣秀吉。6月中旬に滋賀県長浜市で合宿を行い、長浜城にも出向いた。同市は秀吉が初めて一国一城の主になった地であり「侍として天下を統一した武士。目に見えないパワーを感じた」と戦国一の出世人と自らを重ね合わせた。

 数年前、不祥事にまみれた角界を支えた自負もあり「思い出したくないことは忘れる。絶対忘れてはいけないこともある」という人生哲学を持つ。先場所中には、紗代子夫人が第4子を流産するという悲しい出来事もあったが、この日は終始明るく対応した。自らの土俵生活を本場所に例え「まだ10日目。あと5年はできる」と話し、一番強かった時期は「今でしょ!」と断言する29歳。前を向き、相撲人生の終盤戦を歩む。

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2014年7月1日のニュース