錦織“3日がかり”で初16強「芝で一つの壁を越えられてうれしい」

[ 2014年7月1日 05:30 ]

初の16強入りを決めた錦織(AP)

ウィンブルドン選手権第7日

(6月30日 英ロンドン・オールイングランド・クラブ)
 男子シングルス3回戦で第10シードの錦織圭(24=日清食品)が“3日がかり”の戦いを制した。28日に日没順延となった世界ランキング132位のシモーネ・ボレリ(28=イタリア)との試合は最終セットの3―3から再開。最初のゲームで2度のブレークポイントをしのぎ、このセットを6―4で取って勝負を決めた。ウィンブルドンの日本男子では95年にベスト8に入った松岡修造以来6人目、自身初となる4回戦進出。次戦のミロシュ・ラオニッチ(23=カナダ)戦で松岡以来のベスト8進出に挑む。

 この日消化したのは4ゲーム、わずか18分。しかし試合時間を見れば3時間13分。日没順延、29日の休養日まで含めれば勝利をつかむまでに40時間以上要した大きな1勝だった。「この2日間の苦しみがあったから素直にうれしかった。家に帰る寸前だったけど何とかできた」。勝った瞬間に錦織はバンザイして跳びはねた。

 錦織のサーブから再開した。ところがファーストサーブが全く入らずに15―40といきなり窮地を招いた。「さすがに焦ったけど、硬くならずにしっかりといいサーブを打っていけた」。2本のブレークポイントをしのいでキープすると、第10ゲームでチャンスが訪れた。ボレリのダブルフォールトをきっかけに訪れたマッチポイント。相手のバックハンドがネットにかかって勝敗は決した。劣勢の中でも勝利をもぎ取る勝負強さを見せた。

 「試合のことは常に頭に残っていた。おとといは夢に出てきた」。順延となったその日の夜、夢の中で3―3から再開された試合は、最初のゲームをキープし、次も30―0となったところで途切れたという。翌日順延ではなく、ウィンブルドンならではの大会休養日を挟んだことで落ち着かない時間は余計に長引いた。「精神的に凄く疲れた。特にきのうはストレスがあった」という言葉に実感がこもった。

 ただし、精神的に消耗しても肉体的にはフレッシュだ。帯同する中尾公一トレーナーは「マスターズよりもグランドスラムの方がフィジカル的にはいい」という。1週間で強豪と連戦するマスターズ大会。それに比べて大会期間が長く試合間隔の空く4大大会は、ケガがちの錦織にとって負担が少なく済む。

 「ベスト16が目標ではないけど、芝で一つの壁を越えられてうれしい」と語った初めてのウィンブルドン4回戦進出。大会は2週目に突入し、上位シードと対戦する。「これからが大きな勝負」。まずは同世代のライバルでもあるラオニッチ。本当に厳しい4大大会の戦いはここから始まる。

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