桐生 追い風必至!布勢スプリントで9秒台出し仁川へ

[ 2014年6月10日 05:30 ]

アジア大会代表に選出され、ガッツポーズする桐生祥秀

 9秒台を出して大舞台に乗り込む。日本陸連は9日、男子100メートルで日本選手権を初制覇した桐生祥秀(18=東洋大)ら、今秋のアジア大会(韓国・仁川)の代表選手を発表した。桐生の100メートルの次戦は29日の布勢スプリント(鳥取・布勢総合運動公園陸上競技場)。直線スプリント種目のみで実施される同大会は、風向き次第でホームストレートではなく、バックストレートを駆ける。追い風必至の好条件で、日本初の偉業に挑む。

 あの衝撃から、もう16年がたとうとしている。伊東浩司が10秒00をマークしたのが、98年12月のバンコク・アジア大会。当時2歳だった桐生が今秋、同じアジアの舞台に立つ。「伊東さんのレースはYou Tubeで見たことはある。速いって思った」と話した18歳のワンダーボーイは「出るからにはアジアのトップになりたい」と闘志を高めた。

 日本選手権は初優勝したものの、決勝のタイムは10秒22。だが、アジア大会前に9秒台に挑むチャンスがやってくる。21、22日に日本学生個人で200メートルに出場した後、29日に布勢スプリントで100メートルを走る。同大会の個人種目は男女100メートル、男子110メートル障害、女子100メートル障害。大会責任者の鳥取陸協・冨田学氏(40)は「直線に特化した大会運営をしている。こういう大会は国内で他にないんじゃないか」と話す。

 まさにスプリンターのための舞台だ。同大会は2レース制で、ホームストレートを走る第1レースが向かい風だった場合、第2レースでバックストレートを逆方向に走って追い風の環境をつくり出すことが可能。「とにかく選手に記録を出してもらうため」と冨田氏は説明する。トラックも、09年に福島千里が第1、2レースで日本新記録を連発するなど高速だ。

 同大会の会場は、07年大阪世界選手権前にジャマイカ代表が練習拠点として使用した。桐生が憧れる世界記録保持者のウサイン・ボルトも練習し、同選手権の男子200メートルで銀メダル。世界大会で初めて表彰台に上り、その後の飛躍につなげた。日本初の9秒台へ。絶好の追い風と世界最速男の汗が染みこんだトラックで、ワンダーボーイが未知の領域に突入する。

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