桐生が初優勝 豪雨決戦!10秒22止まりも山県にリベンジ

[ 2014年6月9日 05:30 ]

<陸上全日本選手権男子100メートル決勝>レースを制した桐生は花束を手にガッツポーズ

陸上日本選手権最終日

(6月8日 福島・とうほう・みんなのスタジアム)
 ワンダーボーイが日本一に輝いた。今秋のアジア大会(韓国・インチョン)の代表選考会を兼ねて行われ、豪雨の男子100メートルで桐生祥秀(18=東洋大)が10秒22(追い風0・6メートル)で初優勝し、アジア大会代表に決定。日本人初の9秒台には届かなかったが、念願のタイトル獲得で自信を深めた。女子100メートルは福島千里(25=北海道ハイテクAC)が11秒69で5年連続6度目の優勝を果たした。アジア大会の全代表は9日、発表される。

 トラックを叩く雨音が、スタート前の静寂を破る。視界がかすむような豪雨の中で、桐生が出遅れた。号砲への反応時間は8選手中5番目。序盤は山県にリードを許したものの、中盤から加速しラストの競り合いを制した。タイムは10秒22止まりだったが、目標だった日本一のタイトルをゲット。「今年は優勝しか狙っていなかった」と充実感に浸ったワンダーボーイは、「来年も再来年も勝ちたい」と早くも連覇に意欲を見せた。

 速いだけじゃ満足できない。強い選手になることが桐生の目標だ。昨年の日本選手権は山県に完敗。「山県さんに負けたのが残っていて、リベンジしたかった。一緒に走って勝てて良かった」。彦根南中の卒業文集には「めざせ全国制覇」と書いた。昨年の全国高校総体で100&200メートル、400メートルリレーの3冠。今年は日本最高峰の舞台で勝った。今の日本では、誰もが認める最速かつ最強のスプリンターだ。

 東洋大に入学して生活環境が変わっただけでなく、走りも微妙に変化していた。昨年の好調時、47歩半だったストライドは4月の出雲陸上、織田記念では49歩半に。ピッチが速くストライドが縮まったことで爆発力に欠けていたが、10秒05をマークした5月の関東学生では48歩まで修正。高校時代に打ち込んだ、ミニハードルをリズム良く越えていく練習で好調時のリズムも取り戻し、アジア切符も手に入れた。

 今後は国内で200メートルと100メートルに出場し、7月22日開幕の世界ジュニア選手権(米オレゴン州ユージーン)に向かう。日本陸連の伊東浩司男子短距離部長は、「ユージーンは2メートルの風が吹くような、100メートルにとっては世界屈指のトラック」と明かした。9秒台が期待できる舞台に向け、桐生は「世界ジュニアは同世代との勝負なんで、勝ちたい」と気合十分。ワンダーボーイの次のターゲットは、世界最強だ。

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