手嶋 4歳愛息の前で7年ぶりV「まさか見せられるとは」

[ 2014年6月9日 05:30 ]

<日本プロゴルフ選手権 最終日>手嶋多一は小田孔明(左)らを振り切り優勝を決め、駆け寄った長男・泰斗君(中央)を抱きあげる

男子ゴルフツアー日本プロゴルフ選手権日清カップヌードル杯最終日

(6月8日 兵庫県西脇市 ゴールデンバレーゴルフ倶楽部=7233ヤード、パー72)
 手嶋多一(45=ミズノ)が07年カシオ・ワールドオープン以来、7年ぶりのツアー7勝目を挙げた。単独首位から出て中盤で首位を譲ったが、4バーディー、3ボギーの71で回り、通算9アンダーで逃げ切った。大会史上4番目の年長優勝で、メジャー制覇は01年日本オープン以来13年ぶり。小田孔明(36=フリー)は14番からの3連続ボギーが響き、1打差の2位だった。

 7年ぶりのウイニングパットは30センチだった。震える手で沈めた手嶋は右拳を握りしめた。すると次の瞬間、目に映ったのは長男・泰斗くん(4)。「まさか優勝シーンを見せられるとは。昨年は土日に家にいて家族サービスをしてましたからね」。家事も子育ても何でもするイクメンは優しく抱き上げた。

 10番のボギーで首位から陥落してからが見せ場だった。12番で17年使っている4Wで第1打を放ってバーディー。14番、下りの5メートルをねじ込むバーディーで首位に並んだ。1打リードの最終18番パー5は第1打をグリーンエッジまで240ヤードのフェアウエーに運んだが、5Iで刻む勇気を選択。狙い通り2メートルに3オンしてライバルにプレッシャーをかけ、大会史上4番目の年長優勝を遂げた。4日間でダブルボギーを1度も叩かず、コースレート77・4の日本一難しいコースを制覇。「ゴルフ人生で一番充実した4日間だった」の言葉に実感がこもった。

 昨年、体重が8キロも激減し、1Wの平均飛距離も263ヤードまで落ちた。10回も予選落ちし、96年から継続中の賞金シードは70位とぎりぎりで確保。体調が戻り再起をかけた今年、賞金シードどころか13年ぶりの公式戦制覇で19年までの5年シードを手にした。

 「50歳まで出られるから、そのままシニアに行けますね」。ラウンド後に5分でコースを去る“日本一練習しない男”は、ちゃめっけたっぷりに言った。だが、掲げた優勝カップは奥底にある本能も刺激した。「勢いのある(小田)孔明と競って勝てた。まだまだできるのかな」。45歳の未来を照らす優勝だった。 

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