桐生 最後の国立“日本人初9秒台”でフィナーレ飾る

[ 2014年5月11日 05:30 ]

セイコー・ゴールデングランプリ東京を控え練習する桐生祥秀

 ラスト国立で歴史をつくる。陸上のセイコー・ゴールデングランプリは11日、東京・国立競技場で行われる。10日は有力選手が会見し、男子100メートルで10秒01の記録を持つ桐生祥秀(18=東洋大)は、04年アテネ五輪金メダルのジャスティン・ガトリン(32=米国)ら世界トップとの激突に胸を高鳴らせた。20年東京五輪に向けて改築工事に入る国立競技場では、最後の陸上の大会。聖地のフィナーレには、日本初の9秒台がふさわしい。

 胸の高鳴りを抑えきれない。04年アテネ五輪金メダルのガトリン、白人で初めて9秒台をマークしたルメートルと並んだ会見。日本初の9秒台を狙う桐生は「自分のことに集中したいけど、逃げていたら、これから先も世界で戦えない。素晴らしい選手と走るんで、意識しないのは無理。意識しながら、どんな走りができるか試したい」と気合を入れた。自分の走りに集中するというモットーを封印し、珍しく対抗意識を燃やした。

 歴史をつくるには絶好の舞台だ。国立競技場は20年東京五輪に向けて改築工事に入るため、11日が陸上ではラストの大会になる。64年東京五輪はボブ・ヘイズ(米国)が10秒0の世界タイ記録(当時)で戴冠。91年世界選手権ではカール・ルイス(米国)が9秒86の世界新記録(当時)をマークするなど、世界トップが国立のトラックを駆けてきた。「国立でいい感じで走って、20年は今の自分より強くなって帰ってきたい」。国立の日本人最高記録は10秒11(川畑伸吾)だが、ターゲットはもちろん9秒台だ。

 会見ではガトリンから「小さな変化を続けていけば、それが大きな差になる。10秒を切るのは遠い未来のことじゃない」とアドバイス。4月29日の織田記念国際予選で右太腿裏に違和感を覚えて決勝を棄権したが、既に完治。今は全力で走れるワクワク感がある。「“10秒の壁”を破ることを深く考えない。出る時には出る、そういう感じで走りたい」。6年後のTOKYOへ。ワンダーボーイの激走が聖地の今と未来をつなぐ。

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