“ニコニコ超会議場所”好取組に「888」白鵬は「ラスボス」

[ 2014年4月27日 05:30 ]

松鳳山をうっちゃりで破った遠藤(左)にネット住人からもモニターを通じて大歓声!

 日本相撲協会は26日、千葉市の幕張メッセで「大相撲超会議場所」を開催した。インターネット動画サイトと連動した大型イベント「ニコニコ超会議3」の一企画で多くの若者が来場。会場の大型スクリーンに巡業の様子が映り、動画視聴者の投稿する個性的なコメントが次々に表示された。ネット世代のファン開拓を狙った新たな試みの「超会議場所」は27日も同会場で実施する。

 まげを結った力士が真剣に稽古を行う土俵のすぐ隣のブースでは、アイドルの掛け声によってペンライトを振りかざす若者がいた。まわしを締めた力士が取組を行っている最中には、バーチャルアイドル「初音ミク」のコスプレをした若者が土俵下のたまり席から声援を送った。「相撲」という伝統文化と、インターネット世代を中心とする「アニメ」や「アイドル」という現代文化の融合。春巡業を締めくくる「ニコニコ超会議場所」が起こした“奇跡”だった。

 通常の地方巡業と大きく異なる特徴は土俵近くに設置された大型スクリーンだ。インターネットの「ニコニコ生中継」で配信されている動画が映され、その画面にはユーザーによるコメントも同時に流れた。土俵入りで横綱が四股を踏む度に「ヨイショー」と書き込まれ、力士が好取組を演じた際には拍手の音をもじった「888」が表示。さらに白鵬は最後に出てくる強敵であるため「ラスボス」、鶴竜は犬顔であるため「わんわん」と書き込まれるなどインターネット世代ならではの愛称も次々と生まれた。

 相撲協会とニコニコ動画の接点は11年5月に生まれた。八百長問題によりNHKが中継を中止したため、ニコニコ動画が全ての取組の動画をインターネット配信。その後も朝稽古の模様を配信するなど2つの“文化”の関係は途切れなかった。そして今回だ。新たなファン層の拡大を求めていた相撲協会と、斬新な企画を求めていた「ニコニコ超会議」の思惑が一致し、開催につながった。

 夏場所(5月11日初日、両国国技館)の番付が24日に発表済みで本来なら本場所へ向けた調整期間。一部の力士からは「稽古に集中できなかった」という声も漏れた。だが、白鵬は「10代や20代の若い人しか見なかった。こんなこと初めて」と驚くとともに「来年も再来年も続いてほしい」と継続を懇願し、鶴竜も「相撲を知らない人も見てくれたと思う」と前向き。巡業部の尾車部長(元大関・琴風)は「私の知らない世界だったが、やってみて良かった。相撲を見ない人が見てくれたのは意義がある」と新たなファンの獲得に向け、手応えをつかんでいた。

 ▽ニコニコ動画と超会議 「ニコニコ動画」は大手IT企業のドワンゴが設立したインターネット動画サイト。運営は子会社のニワンゴが行う。愛称は「ニコニコ」や「ニコ動」で、ネット世代の新たな文化を次々と生み出している。最大の特徴は動画視聴者であるユーザーがその場でコメントを投稿し、それが画面左から右へ流れる「コメント機能」だ。「超会議」とは「ニコニコのすべて(だいたい)を地上に再現する」をコンセプトにドワンゴが12年から開いている巨大イベント。コンサートやゲーム、一般企業や自衛隊に政党など世代やジャンルを超えた111のブースが設置され、当日入場券(1日券)は2000円で販売。相撲の超会議場所観戦は別にいす席(5000円)などの料金が必要。26日の超会議場所は動画生中継で約8万4000人が視聴する盛況ぶりだった。またこの日の会場には安倍首相が昨年に続いて姿を見せ、会場全体で1日5万人以上の来場が見込まれる。

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