沙羅 異次元の強さ!前人未到7連勝 W杯今季18戦15勝締め

[ 2014年3月23日 05:30 ]

最終戦で今季15勝目を挙げ、笑顔の高梨

W杯ジャンプ女子個人第18戦

(3月22日 スロベニア・プラニツァ)
 高梨沙羅(17=クラレ)が異次元の強さでシーズンを締めくくった。1回目に最長不倒の135メートル、2回目も132・5メートルの合計271・6点で、2位の伊藤有希(19=土屋ホーム)に26・7点もの大差をつけた。ジャンプW杯の最多連勝記録となる7連勝で通算24勝目。ソチ五輪ではメダルに届かなかったものの、W杯では今季18戦15勝という圧倒的な戦績を残した。

 顔の大きさほどもあるクリスタルトロフィーは、小柄な高梨が持つと余計に大きく見えた。2年続けて手にした個人総合優勝のしるしは、1年間積み重ねてきたものの証明でもある。「この重さはたくさんの人の思いの結晶。支えてくれた人たちに感謝したい」。ソチの悔しさが少し薄れたように、17歳の女王は明るい笑みを浮かべた。

 最終戦はもはや悠々のウイニングフライトだった。「ここにきて一番いいジャンプが出せた」と1回目から135メートルの最長不倒をマークし、2回目も130メートルのラインを越えた。慣れないラージヒルで他の選手が伸び悩む中、高梨の踏み切り、空中姿勢の完成度は群を抜いていた。

 シーズンを通した安定感も抜群だった。男子のW杯ではこれまでにシュリーレンツァウアー(オーストリア)ら4人が6連勝を記録したが、高梨はこれで前人未到の7連勝。積み上げたW杯得点は1720点にも達し、806点で2位だったフォクト(ドイツ)に倍以上の差をつけた。その活躍は国別対抗でも日本を優勝に導いた。

 飛べば勝つ。それだけに、今季唯一表彰台を逃したソチ五輪はやはり痛恨だった。「技術も精神面もまだまだ。改善して4年後の五輪では同じような失敗をしないようにしたい」。独特の重圧に負けた苦い経験を糧にし、気持ちはすでに4年後に向いている。今月上旬には、高校卒業を待たずに飛び級入学できる日本体育大体育学部の試験に合格。帰国後は大学進学に向けて両親と最終的な話し合いをする予定だ。「試合が続いていたので、終わって少しホッとしている」。独自の人生設計を模索しながら、17歳の女王は少しだけ羽を休める。

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