白鵬「募金」御礼6連勝 心臓病の少年救命へ目標額達成

[ 2014年3月15日 05:30 ]

白鵬(左)は栃乃若を上手投げで破り6戦全勝

大相撲春場所六日目

(3月14日 ボディメーカーコロシアム)
 29度目の優勝を狙う横綱・白鵬は栃乃若を豪快な左上手投げで退け、初日から6連勝を飾った。土俵外では心臓病を患う水流添日向(つるぞえ・ひなた)君(7)の救命への協力を約束している横綱。米国での手術費用など1億4500万円という募金目標金額が3月11日に集まったことが判明し、春場所5連覇を目指す上で大きな励みになっている。優勝争いは白鵬、日馬富士の両横綱と平幕の大砂嵐という全勝の3人を、1敗で関脇・豪栄道ら6人が追う展開となった。

 相撲界には古くから「荒れる春場所」という言葉があるが、それが消えそうなほどの安定感を誇る横綱だ。白鵬は巨体の栃乃若に対し、立ち合いで右を差し、即座に左上手から豪快に放り投げて6連勝。まさに横綱相撲の内容に支度部屋では「気持ち良くなりますよね」と誇らしげに答えた。

 自身の29度目の誕生日でもあった3日目の3月11日。東日本大震災の復興が思うように進んでいないことに心を痛めた一方で、うれしい報告が1つ届けられた。昨年11月に後援会のある鹿児島県霧島市を訪れた際に出会った難病「拘束型心筋症」を患う水流添日向君の米国での移植手術費用1億4500万円がついに集まったのだ。これまでにブログで日向君の存在を明かし、2月に開いた子供相撲大会「白鵬杯」では自ら募金箱を持って呼びかけた。この日朝、横綱は「全国の皆さんの力で一人の命を生かすことができる。こんなにうれしいことはない」と喜び、4月に渡米予定の少年に向けて「自信を持って手術を受けて元気になって帰ってきてほしい。この国のために役立つ立派な人間になってほしい」とメッセージ。日向君とともに米国で暮らすことになる母・二三代さんは「白鵬関を含めさまざまな方にご支援をいただき、感謝の思いでいっぱいです。手術を成功させ、また日本に帰ってきます」と話した。
 
 「結果を求めること」が横綱としての宿命だが、年齢を重ねる度に「上に行かせてもらってる分、返さないといけない。社会貢献も相撲道」と考えるようになった。29歳最初の場所で29度目の優勝を目指す意味を知る男・白鵬。中盤戦に突入しても、当然のように「荒れない春」の主役としての仕事を果たしている。

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2014年3月15日のニュース