亡き祖父の形見胸に ネックレスが小野塚守った

[ 2014年2月22日 05:30 ]

銅メダリストに輝いた小野塚は2人の祖父・勝利さん(右)と巌さんの遺影を手に笑顔

ソチ五輪フリースタイルハーフパイプ

(2月20日 ロザフータル公園)
 小野塚は家族の支えを受けて表彰台までたどり着いた。スキーを最初に教えてくれたのは母方の祖父・勝利さん(享年68)だった。五輪に出ることを楽しみにしていた祖父との別れが決意を固めさせた。12年3月。欧州遠征から帰国した小野塚は祖父と夕飯を食べる約束をしたが、仮眠をとると言ったきりそのまま息を引き取った。肝臓がんだった。小野塚は祖父の枕元で「絶対に五輪に連れて行く」と誓った。

 危険と隣り合わせの競技から守ってくれたのも祖父だったかもしれない。母・ゆかりさん(45)から金色のネックレスを渡された。「ケガをしないようにネックレスが守ってくれるような気がしたから」という。それはゆかりさんが嫁入り前に勝利さんからもらったものだった。同年12月には父方の祖父・巌さん(享年82)も他界。おじいちゃん子だった小野塚は観戦した弟・光輝さん(19)に2人の遺影を持つよう頼んでいた。

 母も決死の願掛けをした。五輪決定前から実家近くの坂戸山(標高634メートル)に毎日登り頂上のほこらで願った。ソチに出発する前の18日は大雪。周囲に止められたがそれでも胸まで埋まる雪をかき分けて登った。

 銅メダルが決まると小野塚は遺影を受け取ってそっとキスし、空を見上げた。母とは抱き合って喜び、お守りのネックレスを返した。家族の思いがソチで結実した。

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2014年2月22日のニュース