じいちゃん、やったよ!小野塚彩那、新種目で“歴史的”銅メダル

[ 2014年2月21日 05:45 ]

銅メダルが確定した小野塚は涙を流す

ソチ五輪フリースタイルスキー女子HP

(2月20日)
 新種目のフリースタイルスキー・ハーフパイプ(HP)女子が20日に行われ、小野塚彩那(25=石打丸山ク)が銅メダルに輝いた。予選4位で進出した決勝では83・20点をマークして3位。日本勢は今大会8個目のメダル獲得で、92年アルベールビル大会の7個を抜き、98年長野大会の10個に次いで冬季五輪史上単独2位となった。ママさん選手の三星マナミ(30=野沢温泉ク)は予選落ちで23位だった。

 動揺などしなかった。予選4位通過で迎えた決勝の1回目。前の2人が転倒し、会場がざわついた。それでも小野塚は720(2回転)、スイッチスタンスからの540(1回転半)を決めて3位に浮上。2回目も鮮やかに540、720を決め、フィニッシュと同時に右腕を突き上げた。

 アルペン女子大回転のインカレ覇者。指導者たちが技術を競う全日本技術選手権(技術選)で毎年上位に食い込む実力の持ち主だった。しかし、当時からHPも楽しんでいた。「指導者は年を取ってからでもできる。国内だけの技術選ではなく世界に出て戦ってみたかった」。11年4月、HPが五輪種目に決まると転向を決意。反対はあったが、気持ちは揺るがなかった。

 技術選で培ったスキー操作の巧みさはハーフパイプでも大きな武器となった。パイプの形状や雪質にかかわらず速く滑ることが可能で、スピードはそのまま高さに直結。この日もリップ(パイプの端)から3メートル超の飛び出しで観客を沸かせた。

 ただ、転向時はHPの全日本チームがなく強化費もゼロ。ウオータージャンプで空中姿勢を研究し、国内に本格的な施設がないため自腹で海外へ遠征した。格安チケットやルームシェアで経費を切り詰め、練習合間の展示会出席やレッスンで収入を得た。それでも年300万~400万円かかる遠征費を補えず、知人に頼んで設立したのが「小野塚彩那サポーターズクラブ」。1年目に260万円、会員が増えた2年目は370万円が集まった。「後援会がなければ海外に出ることもなかったし、W杯を回りきることもできなかった」。資金援助のおかげで昨年3月の世界選手権では銅メダル。今季は全日本スキー連盟から最高の「特A」強化指定を受け、五輪を狙う態勢が整った。

 12年3月、祖父・勝利さんが肝臓がんのため68歳で亡くなった。祖父が石打丸山スキー場で旅館を経営していたことがスキーを始めたきっかけなら、仕事の合間にスキーの手ほどきをしてくれたのも祖父だった。小野塚はW杯や世界選手権で獲ったメダルを祖父の位牌(いはい)に必ずかけて供養する。五輪での滑りにも、祖父にささげる思いを込めた。

 ▼小野塚彩那 今までで一番うれしいです。(HPに)転向して良かったなということと、周りの人の支えがなかったらここまでこられなかったので、本当にうれしいです。天国にいるじいちゃんと、そばにいる家族と、喜びを分かち合いたいですね。1日が長かったが、集中して滑るようにしました。優勝するにはほど遠かったと思いますが、それなりに結果が残せて良かったです。

 ▽フリースタイルスキー・ハーフパイプ(HP) スノーボードのHPと同じく、半円筒状のコースを滑り降りながら空中技(トリック)で得点を競う。1回の滑りで出す技の回数は自由で、踏み切り・着地の方向や回転数、空中でスキーをつかむ(グラブ)技、空中の高さなどをジャッジ5人が採点。最高点と最低点をカットした3人分の合計が得点となる。通常は予選、決勝とも2回滑り、得点の高い方を採用。エクストリームスポーツの最高峰「冬季Xゲーム」でも種目に採用され、北米では若者を中心に人気がある。

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