歩夢 “歴史的”銀!雪上競技で史上最年少メダルだ

[ 2014年2月13日 05:30 ]

ともにメダルを獲得し笑顔の平野(左)と平岡

ソチ五輪スノーボード男子ハーフパイプ

(2月11日)
 日本のスーパー中学生が雪上競技最年少メダリストになった。男子決勝が11日に行われ、平野歩夢(15= バートン)が93・50点をマークし、銀メダルを獲得した。15歳74日でのメダル獲得は冬季五輪のスキーやスノーボードという雪上競技では史上最年少。予選2組2位だった平岡卓(18=フッド)も92・25点で銅メダルを獲得し、18歳105日は日本人では平野に次いで冬季五輪2番目の年少メダリスト記録となった。若き新星がそろって日本にソチ五輪初めてのメダルをもたらした。
【競技結果】

 無数のフラッシュを浴び、スーパー中学生の笑顔はどこかぎごちなかった。五輪公園内のジャパンハウスで開かれた一夜明けの会見。五輪ならではの雰囲気にちょっぴり戸惑った。それでも快挙の実感はあった。競技終了後の夜は「時間がなくてほとんど眠れなかった」と明かしたが、充実感が体を包んだ。15歳74日での銀メダル。スキーなどの雪上競技では五輪史上最年少メダリスト、日本のスノーボード種目でも、今大会の日本勢でも初めてのメダルだ。平野は「小さいころからオリンピックを目標にやってきた。最年少メダリストで歴史に残る。自信につながる」と振り返った。

 かしこまった会見では緊張を強いられた平野だが、パイプに飛び出せば生き生きとする。11日夜の決勝がそうだった。緊張とは無縁で存分に実力を発揮した。1回目は中盤にバランスを崩して一度は減速したが、すぐに立て直して90・75点をマーク。これが五輪2連覇中だったホワイトにとって重圧となったのか、第一人者はミスで得点を伸ばせない。平野が1位に躍り出た。2回目では直前に平岡に逆転されて3位となって奮起。「卓を抜き返すにはルーティン(技の構成)を変えないといけない」。3つ目のエアをフロント1080(横3回転)からキャブダブルコーク1080(利き足と逆のスタンスで軸をずらしながら3回転)に上げ、着地も鮮やかに決めた。2・75点を上積みして平岡を再び上回り、1人を残して2位に再浮上すると、最後のホワイトが届かず銀メダルを手に入れた。

 家族とともにつかんだ快挙でもあった。父・英功さんが11年前に700万円の資金を投じて自宅近くの体育館を改修してスケートボードの練習場をつくった。夏場でも滑走する感覚を研ぎ澄ますことができ、パイプの縁ぎりぎりから飛び上がり、再び縁に戻ってくる正確なエアの基礎を築いた。同じ競技に取り組む3歳上の兄・英樹(バートン)の存在も大きい。「お兄ちゃんが頑張っているから頑張れた。刺激し合えた」と尊敬する。父は「どうやったらうまく飛べるか3人で模索してきた」と言う。ライバル意識から時にはけんかもした。だが、世界と戦うという目標があったからこそ衝突しても互いを受け入れられた。最後に決めた大技は海外合宿で兄と空中姿勢などについて意見交換し、昨秋完成にこぎつけたものだった。

 「次元が違う」と憧れていたホワイトも超えて、日本スノーボード界の悲願であるメダル獲得を15歳で達成。最高の輝きを目指す機会は何度もやってくる。「限界を感じるまでやりたい」。次の18年平昌(ピョンチャン)はもちろん、8年後、12年後と日本のエースとして君臨していく。

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