沙羅4位…「絶対的本命」がまさかのメダルなし…

[ 2014年2月12日 05:33 ]

ソチの夜空を舞う高梨

ソチ五輪ジャンプ女子

(2月11日)
 沙羅、まさか――。今大会から新種目となったジャンプ女子は11日(日本時間12日未明)にノーマルヒル(HS106メートル、K点95メートル)で決勝が行われ、W杯ランク1位の高梨沙羅(17=クラレ)は1回目3位から逆転を狙ったが、2回目も98・5メートルと距離を伸ばせず、まさかの4位。スキー競技では02年ソルトレークシティーのモーグル女子の里谷多英以来のメダル獲得はならなかった。また伊藤有希(19=土屋ホーム)も7位に入賞した。

 勝利の女神は17歳に意地悪をした。100メートルで3位となった高梨の1回目は、ウインドファクターで全選手中最高の3・1ポイントの加点。つまり不利な追い風だった。まさかの出遅れ。今季のW杯13戦10勝の若き女王は逆転を目指し2回目のフライトに臨んだが、さらに順位を落とした。絶対的本命が、まさかのメダルなしに終わった。

 周到に準備を重ねてきたはずだった。初めてソチのジャンプ台を飛んだのは12年12月のW杯。緩やかな傾斜が続いたまま踏み切りを迎える新規格の助走路に「タイミングを合わせるのが難しい」と苦手意識を残して2戦とも優勝を逃した。そのため昨年10月にはソチで行われたロシア選手権に個人遠征。ジャンプ台の特徴をつかみ、ナイター練習まで経験させてもらい、五輪本番の絶好の予行演習をこなした。

 昨季までの課題だったテレマーク姿勢の改善にも取り組んだ。練習では飛ぶ本数を減らし、陸上での練習や週2回のフィジカルトレーニングを取り入れて体づくりに重点を置いた。飛びすぎによる足の負担が軽減されるとともに、衝撃を受け止める強じんな下半身が出来上がった。それでもなお万全を期して、W杯では無理にテレマーク姿勢を入れずに足を“温存”。「ケガをしたら意味がない」と力を蓄えた。

 ソチ入り後も選手、コーチを含めた女子ジャンプチームでただ一人、開会式に出なかった。開会式に出れば渋滞などに巻き込まれ、予期せぬ疲労も蓄積する。コンディションを整える上ではデメリットもあるため、コーチから参加の意思を問われた高梨は自ら「出ません」と答えた。開会式の時間はジムの中で見た。夜9時半から始まる試合に合わせて体を動かすため、ランニングマシンの上で黙々と汗をかいていた。全ては金メダル獲得のため――。だが、現実は残酷だった。

 「先輩たちに感謝の気持ちを持って飛びたい」。10年バンクーバーでは正式種目入りを求めて訴訟まで起こした先人たちも見守った、初の大舞台。全ての思いを受け継いで初代女王になるはずだった17歳の屈辱。雪辱ストーリーは、18年平昌(ピョンチャン)へ向け、この夜始まった。

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