レジェンドの闘いはこれから…NH8位の葛西「ラージでお返し」

[ 2014年2月11日 05:30 ]

ノーマルヒルは8位に終わるも充実した表情の葛西

 “レジェンド”のソチ五輪初戦は悔しさの残る入賞となった。史上最多の7大会連続出場を果たしたジャンプ男子の葛西紀明(41=土屋ホーム)は9日のノーマルヒル(HS106メートル、K点95メートル)で、101・5メートル、100メートルの合計255・2点で8位。日本選手団の主将としてメダル1号を狙ったが果たせず、15日のラージヒル、17日の団体戦に向けて仕切り直す。

【ノーマルヒル競技結果 葛西紀明】

 7500人収容のルスキエゴルキ・センターの客席には、世界各国の国旗が色鮮やかに揺れていた。その風景を見下ろしながら助走に入った41歳のレジェンド。「ガンバレ!」という場内DJの日本語に乗って飛び出したが、踏み切りで立ち遅れた。飛距離は100メートルを超えても足裏に残る感触は「失敗」ジャンプだった。

 「1回目は50センチ、2回目は1メートルぐらい外してしまった」。前日の初飛びからジャンプ台への対応に頭を悩ませていた。傾斜がなだらかに変化していくソチのジャンプ台。同じような形状のビショフスホーフェン(オーストリア、ジャンプ週間の会場の一つ)をイメージしたが、練習ではしっくりこなかった。この日はW杯最年長優勝を飾った時の形に修正。「イメージでは2、3センチお尻を上げた」おかげで助走スピードは感じられたが「お尻を上げた分、爪先に体重が乗った。それが立ち遅れにつながった」。微妙な感覚を調整できないまま、8位からの逆転を狙った2回目はさらに力んでタイミングを外した。

 コンディションも万全ではなかった。自身のブログでは腰を痛めたことも明かした。「昨日の2本の練習から腰がちょいちょいやられてて、今日の1本目で一気にきてもうた」と経緯を説明。41歳には過酷な状況下での闘いだった。「まだ日本チームがメダルを獲っていなかったので、ここで一発勢いをつけようと思っていた。それだけに残念」と悔しがった。

 7度目の五輪は初めて日本選手団の主将に就任。6日には女子モーグルの試合を観戦し、7日には94年リレハンメル以来20年ぶりに開会式にも参加した。「ボブスレーの会場にも行ってみたい」と同じアラフォー戦士の鈴木寛(40)が代表にいるボブスレーにも興味津々。「早起きしてランニングしたいけど、こういう試合時間なので遅く起きて調整している」。この日も15日のラージヒルも試合開始は午後9時30分(日本時間午前2時30分)。夜遅くのイベントに参加するのは、五輪を満喫しつつ“遅寝遅起き”を実践するためでもある。

 試合後はすぐに帰らず表彰式の様子を最後まで目に焼き付けた。次こそは自分があの場所に立つ。「表彰台に上がった選手を見て悔しくなった。次のラージヒルでは絶対にお返ししてやろうと思った」。悔しさをバネにこの年齢まで現役を続けてきた41歳。挽回のチャンスはまだ残されている。

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