伊藤みき欠場 右膝痛限界、開会式前に五輪終わった

[ 2014年2月8日 05:30 ]

練習で負傷した伊藤は無念の棄権

ソチ五輪 フリースタイルスキー 女子モーグル

 右膝じん帯損傷からの復活を目指した女子モーグルの伊藤みき(26=北野建設)は、試合で一度も滑ることなく3度目の五輪を終えた。6日の予選1回目の直前練習でバックフリップを飛んだ際に右膝を再び負傷し棄権。8日の予選2回目に出場する資格はあったが、日本オリンピック委員会は7日、「日本代表選手団本部が本人の意向を踏まえて総合的に判断した」と欠場することを発表した。

 前日の痛々しい姿を考えれば仕方のない判断だった。自力で起き上がれずに「誰か来てください」と叫び、「アイムOK」「嫌だ」と泣いて出場を懇願しながらも関係者に担がれて医務室へと運ばれた。救急車で選手村に戻り、病院には行かずに一晩様子を見ても、やはり出場は無理だった。

 昨年12月にフィンランドでの練習中にエアの着地に失敗し、右膝の前十字じん帯を損傷した。関係者によれば「じん帯の55%が切れていた」状態だった。手術をして全治8カ月と診断されたものの「私は死んだわけじゃないし、全てがなくなったわけじゃない」と手術を回避。モーグルをして同じケガを負った経験のある姉や妹らのアドバイスも受けながら、懸命のリハビリに努めてきた。

 昨季は世界選手権で2位となるなど躍進し、今季から全日本スキー連盟で女子ジャンプの高梨沙羅らと並んで4人しかいない「特A」強化指定に昇格した。しかし、スタートラインに立つことすらかなわなかった。本人の強い希望があったとはいえ、無理をさせ続けた周囲の判断も正しかったのかどうか疑問だ。メダルへの期待とともに、不本意な形でソチを去ることになった伊藤は、日本に戻り、大きな代償を払った右膝の精密検査を受ける。

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2014年2月8日のニュース