上村愛子に夫・皆川賢太郎が“金”言「理想の滑り目指して」

[ 2014年2月1日 05:30 ]

出発前、ファンへのサインに応じる上村愛子

 7日に開幕するソチ五輪の日本選手団本隊37人(選手12人、役員・コーチ25人)が31日、成田空港発の日航機でロシアへ出発した。5大会連続5度目の五輪となるフリースタイルスキー女子モーグル代表の上村愛子(34=北野建設)は、ソチ五輪出場を逃して引退を表明した夫の皆川賢太郎(36=ドーム)から金言を授かったことを披露。最愛の夫の思いとともに、決戦の地へと旅立った。

 98年の長野五輪から早16年。日本中からアイドル級の注目を集めた当時と美しさは変わらないが、出発を直前にしても上村の表情に高揚感はない。「5回目になるんですけど、今までの五輪と違い凄く落ち着いている。特別な気持ちはあまりなく、きょうを迎えています」。フリースタイルスキーチームで最年長の34歳。大舞台の経験でも右に出る者はいない。ベテランは落ち着いた口ぶりで話した。

 周囲の期待は大きい。初出場の長野大会で7位に入賞し、1大会ずつ順位を上げた。夫婦で出場した10年バンクーバー大会は4位。あと一歩でメダルに及ばず「何でこんなに一段一段なんだろう」と語って涙した。“法則”に照らせば、今大会は念願のメダルに手が届くが「メダルを獲るために滑るわけではない」とまで言ってのけた。

 上村をその境地にさせたのは、夫から贈られた言葉なのだという。「先日、旦那さんから言われた言葉があって。“自分の理想と、その滑りができた時の楽しみを感じて滑っておいで”と言われて。それができれば、結果はその後に付いてくる、ということを言ってくれた」。日本中の期待を一身に背負う上村。引退表明前後に直接の連絡がないなど、互いに多忙ですれ違いが続いていた夫婦だが、重圧を少しでも和らげてあげようという皆川の優しさは、確実に上村の心に響いた。

 午前7時すぎに空港に到着していながら、搭乗券の再発券手続きに時間を要し、出国審査を受けたのは出発予定時刻13分前の同10時32分。それでも一切、慌てるそぶりを見せなかった上村。「純粋にコース対自分ということを考えて、全力でぶつかりたい」。5度目の五輪を前に手に入れたこのメンタルの強さが、本番で大輪の花を咲かせるはずだ。

続きを表示

2014年2月1日のニュース