冬季五輪 地球温暖化で危機 世紀末に開催地激減 札幌可能 長野赤信号

[ 2014年1月24日 09:39 ]

2010年のバンクーバー冬季五輪の会場で、雪不足を補うためコースの土台用にヘリコプターで運ばれるわらの塊

 地球温暖化に伴う気温上昇がこのまま進むと、ロシア・ソチを含む冬季五輪開催地の19都市のうち、2080年代にスキー競技などを確実に運営できるのは、日本の札幌を含む6都市だけになるとの予測を、カナダ・ウォータールー大の研究チームが23日までに発表した。

 1998年開催地の長野は、今世紀末に2月の平均気温が高くなって競技可能な雪面を維持できなくなる可能性がある。今回のソチは50年代に開催が難しくなるという。

 チームの研究者は「世界的なウインタースポーツの祭典を楽しむ伝統が将来は失われてしまうかもしれない」と警告。国際的な温暖化対策の取り組みを強化する必要性を訴えている。

 チームは国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新予測に基づき、80年代の19都市の2月の平均気温を推定。日中に雪面が解けて緩んでも夜間に人工降雪機を使って回復できるか、コースを造るのに十分な雪の厚さが確保できるかなどを分析した。

 現状のまま温暖化が進むと19都市の気温は、平均で4・4度上昇。競技に向いた条件がそろうのは、札幌、アルベールビル(フランス)、カルガリー(カナダ)、コルティナダンペッツォ(イタリア)、サンモリッツ(スイス)、ソルトレークシティー(米国)の6都市だけだった。

 一方、地球規模で温暖化対策を強化した場合は気温上昇を2・7度に抑えることが可能。長野やトリノ(イタリア)などさらに4都市で開催条件が整うとしている。(共同)

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