稀勢の里 部屋移転がプラスに 国技館往復2時間節約

[ 2014年1月12日 05:30 ]

稽古場に水をまく稀勢の里

12日初日 大相撲初場所

(東京・両国国技館)
 大相撲の初場所は12日に東京・両国国技館で初日を迎える。11日には2度目の綱獲りに挑む大関・稀勢の里(27=田子ノ浦部屋)ら三役以上の力士らが参加して土俵祭りが開かれ、15日間の安全を祈願。稀勢の里は昨年末に所属部屋が千葉県松戸市から国技館近隣の東京都墨田区に引っ越したため、土俵祭りが始まるぎりぎりまで稽古した。大きく生活環境は変わったものの、時間を有効活用できる立地条件をプラスにして、いざ勝負の場所に挑む。
【初場所番付】

 午前7時56分。初日を翌日に控えた稀勢の里は場所前最後の稽古を行うため、東京都墨田区の田子ノ浦部屋の稽古場に姿を現した。巨大鏡に映る自身の体を見つめながら、何度も何度も深呼吸して精神統一。その後は四股、すり足を繰り返し、午前9時まで約1時間たっぷりと汗を流した。

 稽古を切り上げた大関は緑色を基調とした羽織はかまに着替え、午前10時から始まる土俵祭りに向けて出発した。タクシーに乗ることたった5分で国技館に到着。「近かったっす」と思わず笑みを浮かべたのは、突然変わった生活環境に早くも慣れてきた証拠でもあった。

 昨年12月26日。師匠(元幕内・隆の鶴)の年寄名跡変更に伴い、千葉県松戸市の鳴戸部屋から東京都墨田区の旧三保ケ関部屋(現田子ノ浦部屋)に引っ越した。当初はあまりにも環境が一変するため、綱獲り場所に影響が出ることは必至と思われたが、師匠が「少しでも力が出せる環境を」と話したように、周囲のサポートもあって状況は好転した。既に部屋近隣の8畳一間のマンションで初めての一人暮らしを開始。この日も土俵祭りが始まる直前まで稽古場で体を動かせたように、新たな環境がプラスに働く可能性は大いにある。

 これまでは千葉県松戸市から車で1時間強かけて場所入りしていたが、今場所からは往復10分。約2時間も移動時間が節約できるようになった。「いよいよだなという感じ。体の準備はできている」。稀勢の里をはじめとする田子ノ浦部屋にとって、部屋移転は逆境ではなく新たなスタート。貴乃花が引退してから11年不在となった和製横綱の誕生なるか――。昇進の目安は13勝以上の優勝。初日の豊ノ島戦を前に27歳の大関に動揺の色はない。

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2014年1月12日のニュース