美姫 笑顔と涙の「マイ・ウェイ」 逆転表彰台へ5位

[ 2013年12月23日 05:30 ]

SPを終え、涙ぐむ安藤美姫

フィギュアスケート全日本選手権第2日

(12月22日 さいたまスーパーアリーナ)
 来年2月のソチ五輪代表最終選考会を兼ねて行われ、女子ショートプラグラム(SP)で安藤美姫(26=新横浜プリンスク)が5位につけた。冒頭にトーループの2連続3回転ジャンプを成功させ、今季自己ベストの64・87点をマークした。五輪代表入りは厳しい状況ながら、望みはつないだ。ソチ五輪代表をほぼ確実にしている浅田真央(23=中京大)は73・01点で首位発進。フリーは23日に行われる。

 2分50秒でスケーターとして、そして安藤美姫の人生をリンクに描き切った。ショートプログラムの曲「マイ・ウェイ」のタイトル通り、「自分の道は表現できた」。2万人近い観客の拍手と歓声の中で、大きな笑顔と小さな涙が浮かんだ。

 「つらかったり悲しかった時もあるけど、一番うれしかった時の自分を表現したかった。やっと自分らしく滑れた。100点以上の滑りができた。凄く楽しかったです」

 3季ぶりの全日本の舞台で演技前は普段以上の緊張も感じていた。6分間練習でのトーループの2連続3回転ジャンプは「1回目がよくて、2回目はタイミングがずれた」。だが、もう一度跳ぶことはあえてしなかった。「いいイメージだけを持って本番に懸けた」。体に染みこませてきた感覚、経験、そして自分の歩いてきた道を信じた。

 3季前の前回出場時は回避した3―3回転のコンビネーション。自身の持つ最高難度ではないものの、着地を決めただけでなく、出来栄え評価を引き出す好ジャンプとなった。最後のスピンで得点を取りこぼした以外は3回転ルッツを含めて大きなミスなく滑り切った。4月に女児を出産して8カ月。「2年前の自分と比べると筋力や体力が落ちている」という現状を含め、自分の全てを出し切った滑りだった。

 今季自己ベストながら得点は64・87点にとどまり、SPは5位発進となった。五輪切符獲得に関し、21日には自ら「優勝しか道はないと言われている」と明かしたが、連盟幹部は「誰一人そんなことは言ってない」と否定。3番手を争うとみられる村上、宮原との比較では世界ランク、今季ベストともに及ばないが、2位に入ればわずかながら道が開ける可能性はある。トップの浅田とは大差だが、2位の鈴木とは5・32点、3位の村上とは2・55点差。体力面で不安の残る4分間のフリーをきちんと滑り切れば逆転は不可能ではない。

 フリーの曲は10年前にこの大会で初優勝した時と同じ「火の鳥」だ。「16歳の火の鳥から成長してきた大人の火の鳥を表現したい」。今季限りでの引退を宣言しているシーズン。復帰後に目標としてきた全日本もフリーを残すのみとなった。

 「シーズン中はここまで仕上がるとは思わなかった。最後の最後の自分の試合でこれだけの演技をできれば」。道がソチまで続くかは分からないが、手応えとともに全てを懸ける舞台に挑む。

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