41歳・葛西 W杯最年長表彰台!史上最多7度目五輪へ

[ 2013年12月16日 05:30 ]

個人第6戦で3位に入った葛西(右)

ノルディックスキーW杯ジャンプ男子個人第6戦

(12月15日 ドイツ・ティティゼーノイシュタット=HS142メートル、K点125メートル)
 ジャンプ界の“レジェンド”が新たな歴史を刻んだ。41歳の大ベテラン、葛西紀明(土屋ホーム)が139・5メートル、137・5メートルの合計292・0点で3位。10年1月の札幌大会以来、4シーズンぶりの表彰台に上がった。41歳6カ月での表彰台はW杯の最年長記録となった。竹内択(26=北野建設)は6位、伊東大貴(27=雪印メグミルク)は7位。カミル・ストッホ(ポーランド)が142・5メートル、138・5メートルの300・7点で通算8勝目となる今季初勝利を挙げた。

 葛西の視線がじっと電光掲示板に注がれた。2位で迎えた2回目のジャンプは137・5メートル。手応えは上々だった。固唾(かたず)をのみ、飛型点を含めた合計点の表示を待つ。映し出された順位は2位。最終スタートのストッホ一人を残して表彰台を確定させると、何度もガッツポーズを繰り返した。

 「自分の中ではトップにいける自信と期待感があった。6対4ぐらいでうれしい」。今季の好調ぶりがついに表彰台という結果につながった。6戦中トップ10を外したのは、天候が大荒れだった開幕戦のみ。前週のリレハンメル大会では表彰台にあと一歩と迫る4位となり予選が免除される総合10位以内に浮上した。

 前日の個人第5戦は1回目4位から、強い追い風を受ける不運もあって6位に順位を落とした。「ちくしょう」と悔しさをあらわにしたが、大人げないほどの負けん気が力の源だ。伊東は「ちょっと異次元な人。あの負けん気があるからあの年齢でもやれるんだと思う」と語り、竹内も「体のケアとか凄く管理している。なかなかできない」と脱帽する。

 各国の選手、ファンからも「生きる伝説」として尊敬を集める41歳は、09年に優勝した岡部孝信の38歳4カ月を塗り替えるW杯最年長で表彰台に立った。「タイミングが合えばあと3~4メートルいける。勝つのは時間の問題という気がしている」とW杯優勝をも見据える。そして目指すは冬季五輪史上最多7度目の出場。出場だけでなく個人で初のメダルも十分に想像できる。老いてますます盛んとは葛西のことだ。

 ◆葛西 紀明(かさい・のりあき)1972年(昭47)6月6日、北海道下川町生まれの41歳。小学3年から競技を始め、16歳でW杯デビュー。92年アルベールビル五輪に19歳で初出場。94年リレハンメル五輪で団体銀。10年バンクーバー五輪まで6大会連続五輪に出場した。W杯個人通算15勝は船木と並び日本人最多タイ。血液型AB。1メートル77、62キロ。

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