伊藤 “霊長類最強女子”吉田魂でソチ金だ!

[ 2013年11月27日 05:30 ]

レスリングの吉田沙保里に「目指せ金メダル」と書いてもらったエアーポータブルのケースを見せる伊藤みき

 来年2月7日のソチ五輪開幕まで2カ月余り。各競技の日本代表候補は本番を見据えてコンディションを上げてきている。フリースタイルスキー・モーグルの日本代表は26日、W杯開幕戦(12月14日、フィンランド)に向け成田空港から出発。日本のエースに成長した伊藤みき(26=北野建設)はレスリング女子五輪3連覇の吉田沙保里(31=ALSOK)からの激励メッセージに意気軒高。ソチ五輪での金メダルへ向けた第一歩を踏み出す。

 山積みにされた荷物の中にたけだけしい文字が躍っていた。遠征用マットレスのカバーに「目指せ金メダル!!夢追人」の力強い筆跡。伊藤は「プレゼントしてもらったんです。御利益ありそうですよね」と満面の笑みを浮かべた。

 メッセージの送り主は誰あろう世界大会14連覇中の霊長類最強女子だ。ソチ五輪シーズン開幕を前にした先月、吉田と伊藤がともに契約を結ぶ寝具メーカー「西川産業」から激励品として届いたという。実際に会ったことはないというが、吉田のイメージを問われた伊藤は「強い!見習うところばかり」と敬服した。

 一見したところではレスリングとモーグルは似ても似つかない。だが、コブの急斜面を激しく滑り降りるさまは“雪上の格闘技”と呼ばれることもある。「目の前の人を1人ずつ倒していく感覚はモーグルにはない。(2人一緒に滑る)デュアルモーグルに近いのかもしれない。私も自分の最強の滑りを出していきたい」と思わぬ激励を受けて、開幕戦に向けて闘志をかき立てられた。

 昨季は猪苗代大会のデュアルでW杯初優勝を飾り、世界選手権ではモーグル、デュアルともに銀メダルを獲得した。いまや里谷多英、上村愛子が担ってきたモーグル女子のエースにまで成長。全日本スキー連盟の強化指定では、複合の渡部暁斗、ジャンプの高梨沙羅、スキー・ハーフパイプの小野塚彩那と並んで4人しかいない「特A」に選ばれている。

 メダル候補の期待を背負う中でオフの備えもばっちりだ。フィジカルトレーニング、トランポリン、ウオータージャンプと十分にこなし、「あとは雪上で準備してきたものを伸ばす工夫をするだけ」と自信をのぞかせた。自身3度目の五輪に向けて「今季は体当たりの勝負の1年。勢いのあるシーズンをつくっていきたい」と気合は十分。吉田沙保里の高速タックルばりに鋭い滑りでコブを制せば、おのずと金メダルも見えてくる。

 ▼吉田沙保里 私の世界最強マットを持参する伊藤選手には最強の滑りを見せてほしい!プレッシャーに負けないで、ソチ五輪まで目いっぱい頑張ってください!

 ▽モーグル フリースタイルスキーの1競技で、語源はノルウェー語の「雪のコブ」。コブの深い急斜面(W杯では全長約235メートル、平均斜度28度)を滑り、ターン技術、エア演技とスピードを競う。採点配分はターン50%、エア25%、スピード25%で、正確なターンが最も重要視される。W杯には2選手が同時に滑って対戦するデュアルモーグルもあるが、五輪には採用されていない。

 ◆伊藤 みき(いとう・みき)1987年(昭62)7月20日、滋賀県日野町生まれ。高校教師の両親の影響で3歳からスキーを始め、小2の時にモーグル教室に入る。姉・あづさ、妹・さつきも選手のモーグル3姉妹。近江兄弟社高から中京大を経て北野建設に入社。トリノ五輪は20位、バンクーバー五輪は12位。昨季W杯では自己最高の総合6位。1メートル62、53キロ。

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