ジャパン最年少キャップの貫禄 藤田が早大デビュー

[ 2013年11月24日 05:30 ]

<慶大・早大>後半35分、センターライン付近から走り抜けトライする早大・藤田

関東大学ラグビー 早大69―7慶大

(11月23日 秩父宮)
 ワールドクラスの実力で秩父宮を沸かせた。対抗戦の1試合が行われ、90回目の節目となった早慶戦は、早大が69―7で慶大に圧勝。大学公式戦デビューとなったFB藤田慶和(2年)が3トライを挙げるなど、日本代表最年少キャップ保持者の実力をいかんなく発揮した。3連覇を決めている帝京大が12月1日の最終戦で慶大に敗れ、早大が明大を下した場合は1敗で並び両校優勝となる。

 モノが違った。後半35分、相手のハイパント処理から、藤田が自陣10メートルライン付近でパスを受ける。外が余っていないと見るや相手目掛けて突進。ワールドクラスのスピード、敏しょう性で飛びかかる相手を置き去りにすると、敵陣22メートル付近でも2人を振り切った。60メートルを走りきって右中間にダメ押しのトライ。大学公式戦デビューで強烈なインパクトを残した。

 試合後のコメントもモノが違う。「目指すところはここじゃないんで、僕は。いつもニュージーランドと(試合を)するようなイメージでしっかり準備して、もっと上を目指したいと思います」。18歳7カ月の日本代表最年少キャップを持つ男だからこそ、そんな言葉にも嫌みっぽさはない。

 昨年早大に入学したが、ケガや留学のため早大での練習は「合計で1カ月」という。今回も日本代表の欧州遠征で3試合に出場後、17日に帰国。チーム練習は3日だけだったが、後半38分には敵陣22メートルラインを越えたところのラックから途中出場のCTB浅見がボールを受けると「裏、裏!」と指示。浅見のキックとともに勢い良くスタートを切り、インゴールでボールを押さえて3トライ目を挙げ「3日で合わせるのは難しいが、コミュニケーションは取れた」と話した。

 6月2日の交流戦(石巻)は5―43の惨敗。春の倍返しを果たした後藤禎和監督も目を細める。「ハーフタイムにはバックス陣を集めて声を掛けていた。2トライ目の加速力は(左膝を)ケガする前はなかった。頼りになる」。31―40で敗れた3日の帝京大戦で不在だった藤田の存在は、5年ぶりの日本一奪還に向け頼もしく映った。

 しかし、あくまで藤田の目線は高い。「15年、19年とW杯がある。ワセダでもジャパンの時の意識を持ってやればレベルアップできる」。日の丸を背負うラグビー界のスターにとって、大学日本一という目標は小さすぎる。

 ◆藤田 慶和(ふじた・よしかず)1993年(平5)9月8日、京都府生まれの20歳。小学2年からラグビーを始め、東福岡高ではFBのレギュラーとして全国高校大会3連覇。早大に進学し、昨年5月5日のUAE戦で日本代表最年少キャップとなる18歳7カ月で出場。同年6月に左膝じん帯の手術を受け、昨年度は対抗戦の出場はなかった。今夏には留学先のニュージーランドでプレー。1メートル84、90キロ。日本代表キャップ12。

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2013年11月24日のニュース